借金の返済が困難になった際の最終手段として検討される自己破産ですが、自己破産するとどうなってしまうのか気になる人も多いと思います。
自己破産をすると周囲の人や会社にバレたり、財産をすべて失ってしまうのではなかと塵肺している人もいるかもしれませんがそれは誤解です。
この記事では、自己破産のメリットやデメリット、家族や周りの人にバレてしまうのかなどについて解説していきます。
- 自己破産するとどうなるのか知りたい人
- 自己破産するデメリットを知りたい人
- 自己破産した時に周囲にバレるか知りたい人
- 自己破産申請する時におすすめの弁護士を知りたい人
目次
自己破産とは?仕組みを解説
自己破産とは簡単に言えば「借金をゼロにするための手続き」です。自己破産をすると一部の借金を除き、返済の必要が無くなります。
ただもちろん、自分が「自己破産します!」と宣言したところで、借金が消えてなくなるわけではありません。自己破産をするには裁判所に破産の申し立てを行い認められる必要があります。
裁判所で免責(借金の返済が免除されること)が認められれば、借金を返済する必要はありません。お金を借りて返さなくていいとなると都合が良すぎると思うかも知れませんが、自己破産は借金を抱えた債務者を救済するためのきちんと法律で認められている制度です。
自己破産が周囲や会社にバレるシチュエーション
自己破産をする時に誰しも心配になるのが自己破産したことがバレるんじゃないか、ということ。特に身近な家族や友人にバレるのかどうかは気になるところですが、結論から言うと、周囲の人に自己破産がバレる可能性は低いですが、バレる可能性はゼロではありません。
ここでは、自己破産したことが周囲にバレるシチュエーションを具体的にいくつか紹介していきます。
官報を見られるとバレる
「官報」(かんぽう)というのは国が発行している機関誌です。自己破産するとこの官報に氏名と住所が記載されます。氏名と住所が掲載されるので、官報を見られれば自己破産したことがバレる可能性が高いでしょう。
ただ、一般人の多くは官報を見ることはありません。官報の存在自体を知らない人も多いですし、官報を全て確認している人はそうそういませんので官報を見られてバレるという可能性は低いでしょう。
会社から借入しているとバレる
自己破産を行うと、借り入れ先の債権者には破産通知が裁判所から届きます。会社からの借り入れがある場合、会社も債権者になりますので自己破産を行うと会社にも破産通知が届くことになり、そうなると必然的に自己破産したことがバレます。
また会社を通して労働金庫や共済組合から借り入れしている場合も、自己破産がバレる可能性が高いです。これらの借り入れは給与から天引きして返済されていますので、自己破産することで給与天引きを止めるように通知がされ、その際に自己破産したことがバレる可能性があります。
給料が差し押さえられるとバレる
自己破産の前の段階になりますが、債権者は裁判を行い給料を差し押さえを行うことが可能です。
給料の差し押さえは、本人より先に会社に通知がいきますので給料差し押さえが行われると会社に借金の返済ができなくなっていることがバレます。
退職金証明書の取得でバレる
勤務年数がある程度以上ある正社員の場合、自己破産の手続きにて、現時点で退職した場合退職金がいくらになるかという「退職金見込額証明書」を裁判所に提出する必要があります。
退職金見込額証明書は会社に作成を頼みますが、その際に理由などを聞かれてバレることはあるでしょう。
職業制限のある仕事しているとバレる
自己破産の手続き中は資格が必要な士業、警備員や生命保険募集人、宅建取引士といった職務に就くことができません。
これら資格の必要な職務をすることは違法ですので、会社に資格の不要な仕事にしてもらうように頼まなければなりませんが、会社としては理由を聞いてくるでしょうからそこでバレることになるでしょう。
知り合いが保証人になっているとバレる
借金の保証人や連帯保証人を身近な人に頼んでいるケースは多いです。自己破産をすると、破産者の代わりに保証人や連帯保証人が返済を迫られることになるので、バレてしまいます。
また知り合いにバレることを避けるために、知り合いが保証人となっている借金を隠して自己破産手続きを行うと免責不許可事由に該当し、免責が認められなくなるので注意してください。
自己破産をするとどうなる?できなくなること
自己破産をすると次のことができなくなります。
自己破産をするとできなくなる代表的なものを紹介していきましょう。
新たな借金ができなくなる
自己破産を行うと、資産を全て失うわけではありませんが、大きな資産を持ったまま自己破産をすることはできませんので、自己破産後にお金が足りなくなるということもあります。ただ、そういった場合でも新たに借金をすることは非常に難しいです。
自己破産後少なくとも数年はブラックリストにのっているので、新たに借金することやクレジットカードをつくることは困難だと考えておきましょう。
ブラックリストの情報は一生残るわけではありませんが、一般的に数年から10年程度は影響があります。
新たな住居を借りることが難しくなる
自己破産後に家賃が安いところへの引っ越しや心機一転のために引っ越すことを考えることもあるでしょう。ただし、自己破産後の引っ越しには注意が必要です。
最近では賃貸住宅の契約を結ぶ際に賃貸(家賃)保証会社との契約も必須となっているものが多く、この場合、ブラックリストにのっていると賃貸(家賃)保証会社の審査に通ることが難しくなります。
当然そうなると賃貸契約を結ぶことはできず引っ越すことができません。ただ、自己破産した人以外の名義であれば問題はありませんので、家族名義で賃貸契約を結ぶことは可能です。
引っ越しや旅行、郵便物の受取りができなくなる
自己破産の手続き中は裁判所の許可なく、居住地を離れることはできません。そのため、引っ越しや旅行に行くことはできなくなります。自己破産の手続き中のみの制限ですので、自己破産の手続きが全て終われば引っ越しや旅行をすることは可能です。
また、自己破産の手続き中は郵便物が破産管財人に転送されますので、自分で郵便物を受け取ることはできません。直接郵便物を受け取ることはできませんが、破産管財人から返してもらえます。こちらも自己破産中のみの制限です。
一部の職業に就けなくなる
自己破産をしてしまうと、破産をした日から10年間は次のような一部の職業への就職ができません。
- 生命保険募集員
- 警備員
- 司法書士
- 弁護士
- 宅地建物取引士
例えば、現在警備員として働いている人が自己破産をすると職を失いますし、10年間は他の警備会社に就職することもできなくなります。10年経過して権利を取り戻すとこの職業の制限はなくなりますが、自己破産をする場合は今ついている職業が自己破産後しても問題ないかを確認しておきましょう。
保証人や連帯保証人になれない
自己破産をした後は、他人の借金の保証人や連帯保証人になることはできません。
借金を払えずに自己破産をした人が他人の債務を保証できるわけがないと考えればわかりやすいと思いますが、自己破産をすると自分が借金をする権利だけでなく保証人になる権利も失ってしまうことになります。
嘘をついて保証人になろうとすれば罪に問われることもありますのでご注意ください。
自己破産をするメリット
自己破産と聞くと、借金がなくなる代わりに人生が転落してしまう・・・そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
ここでは自己破産のメリットを6つ紹介します。
- 借金の返済が免除される
- 取り立てが無くなる
- 全ての財産が無くなるわけではない
- 家族には迷惑はかからない
- 給料の差し押さえが停止・取消される
- 新たに資産を手に入れることは可能
- 自己破産が理由で仕事をクビになることはない
自己破産のデメリットだけでなくメリットも理解した上で、自分にとってもどちらが良いのか考える参考にしてください。
借金の返済が免除される
自己破産の最大のメリットは、借金の返済が免除されるということです。免責が認められるとその後は借金がいくらあったとしても、返済をする必要はありません。
任意整理などの債務整理では上手くいったとしても、基本的に免除されるのは利息部分や元金の一部のみです。借金が全額免除されるのは自己破産も大きなメリットと言えるでしょう。
また、支払いが不要となるのは借金の返済だけでなく、滞納していた家賃や光熱水費などの支払いも不要となります。ただし、税金や社会保険料などの滞納分は免除されませんので注意が必要です。
取り立てが無くなる
免責が認められれば借金が無くなりますので、借金の取り立ても無くなります。金融機関からの取り立ては生活していく上で大きなストレスとなりますので、取り立て行為が無くなるということはメリットです。
自己破産の手続きを開始した時点で代理人の弁護士が各金融機関に自己破産を行うという通知を行いますが、この通知がされた時点で金融機関は直接借金の取り立てを行うことはできなくなります。
これは法律で定められているので、自己破産手続きを開始したにも関わらず催促や取り立てを行うことは違法です。
全ての財産が無くなるわけではない
自己破産を行うと、借金が無くなる代わりに何もかも失うというイメージがあるかも知れませんがそんなことはありません。自己破産をしても一部の財産はそのままです。99万円以下の現金や、20万円以下の財産のほか、家電など生活必需品は処分されません。
これらの財産は自己破産した後も持ち続けることができます。
家族には迷惑はかからない
自己破産をすると家族が借金を肩代わりすることになると思っている方がいるかも知れませんが、そんなことはありません。家族が連帯保証人や保証人になっていない限り、家族が借金の返済を迫られるということはありません。
また、一定金額以上の自分の財産は処分されてしまいますが、同居している家族の財産についても処分されてしまうことはありませんので安心してください。ただし、連帯保証人や保証人になっている場合、家族でなくても返済の義務を負うため注意が必要です。
給料の差し押さえが停止・取消される
自己破産をする場合、既に借金の返済が滞っているケースも多く、給料が差し押さえられている場合も多いです。ただでさえ借金の返済に困っているところ、給料が差し押さえされるというのは生活に大きな影響を与えます。
給料が差し押さえられている場合、自己破産手続きを開始した時点で給料差し押さえが停止または取消されます。満額給料を受け取れるようになると生活もかなり楽になりますので、大きなメリットです。
新たに資産を手に入れることは可能
自己破産を行い免責が認められれば、借金はゼロになります。自己破産の手続きが完了した後に資産を手に入れたとしても、差し押さえられることは一切ありません。
自己破産後に貯金をすることはもちろん可能ですし、例えば宝くじが当選するなど多額のお金を手に入れてもそれは自分の財産です。
自己破産が理由で仕事をクビになることはない
自己破産をすると仕事をクビになるという誤解があるようですが、そういったことはありません。自己破産を理由に解雇することは労働基準法で認められていませんので、自己破産したからといってクビになることはないのです。
ただ、自己破産の手続き中は弁護士や警備員など一部の職業には就けませんので注意してください。
自己破産をするデメリット
自己破産する上で気になるのが、自己破産したことによるデメリット。自己破産したらどうなるか気になるのも、その先に何が待っているかわからないと怖いからですよね。
ここでは自己破産をするデメリットを紹介していきます。
- 自己破産が認められないこともある
- 99万円を超える現金を失う
- 20万円を超える価値がある財産を失う
- 保証人や連帯保証人がいる場合代わりに借金を返済することになる
- ブラックリストにのる
- 自己破産の手続き中は職業や資格に制限がある
- 免除されない負債もある
「こんなことになるとは知らなかった・・・」ということにならないように、自己破産をすることのデメリットをしっかりと理解しておきましょう。
自己破産が認められないこともある
裁判所に破産の申し立てを行ってからといって必ずしも免責が許可されるわけではありません。免責が許可されて初めて借金がゼロになりますので、自己破産ができる状況を知っておきましょう。
自己破産ができるのは借金が支払い不能となっている状態の場合のみで、支払い不能かどうかは裁判官が判断します。この際、収入や負債額(借金額)、資産額などが判断材料となりますので、簡単に言えば裁判官が「あなたの借金は返済できる」と判断すれば自己破産をすることはできません。
また、過去7年以内に免責を受けたことがある場合や、借金がギャンブルや浪費が原因である場合など「免責不許可事由」に該当すると免責が認められないこともあります。
99万円を超える現金を失う
自己破産を行うと自分の財産が処分されることがあります。例えば、99万円を超える現金については自分のものにしておくことはできません。現金を200万円持っていた場合は、101万円は債権者に分配するために処分されます。
ちなみにこの「現金」には銀行預金などは含みまず、あくまでも現金のみの金額です。
20万円を超える価値がある財産を失う
現金以外の財産についても処分した際に20万円を超えるものは処分されます。20万円という基準は時価評価であり、購入した金額ではありません。
例えば、100万円で車を購入したとしても、長年乗っていれば価値は下がりますので、自己破産時の評価額が20万円以下であればそのまま車を保有することができます。
通常、購入から数年以上経過している車であれば高級車でない限り処分は不要なことが多いです。ただし、車にローンが残っている場合など車の所有権がローン会社にある場合はローン会社が車を引き上げることになるでしょう。
また銀行預金についても、合計20万円以下であれば手元に残すことが可能です。複数の預金口座がある場合は全て合算することになります。
持ち家がある場合はほとんどのケースで20万円を超える金額となりますので、現実的には自己破産すると持ち家は手放すことになるでしょう。
保証人や連帯保証人がいる場合代わりに借金を返済することになる
借金をする場合、保証人や連帯保証人が必要なケースが多いです。借金をした本人が自己破産した場合は、保証人や連帯保証人が借金の返済を迫られることになります。
保証人や連帯保証人はこの場合借金を返済する義務がありますので、拒むことはできません。しかも、自己破産によって連帯保証人に請求がされる場合は通常、返済を一括で請求されることになります。
また、その時点で保証人や連帯保証人には自己破産したことがバレることになるでしょう。
ブラックリストにのる
自己破産をするといわゆる「ブラックリスト」にのることも大きなデメリットです。
ブラックリストにのるとローンやクレジットカードを利用することができなくなります。住宅ローンを利用することもできませんし、スマホを分割で買うこともできなくなるので注意が必要です。
ただし、ブラックリストの情報は一生消えないわけではありません。自己破産の場合は5年から10年程度でブラックリストから消えることが多いです。
自己破産の手続き中は職業や資格に制限がある
自己破産を行うと、破産手続き開始の決定から免責決定が確定されるまで、資格制限されます。
具体的には弁護士や税理士などの士業、生命保険外交員などの資格が制限され、これらの仕事に就いていた場合は以前のように仕事をすることはできません。
免除されない負債もある
自己破産を行い免責が認められると、負債の支払いは原則不要です。ただし、中には免責を受けても免除されない負債もあります。
滞納している税金(所得税や住民税など)や健康保険料、年金保険料のほか、養育費や未払いの罰金などは免除されません。税金や社会保険料の支払いが必要なケースは多いので注意しましょう。
【図解】債務整理の診断チャート
現在債務整理を検討している方のために、簡易的に診断できるフローチャートをご用意しました。
自分の債務がどれくらいで返済できるかなどから、どの手続きが一番適しているかまとめていますので参考にしてください。
ただし、債務整理を実際に行う場合は、一度司法書士事務所や法律事務所へ相談することをおすすめします。
自己破産をする時におすすめの法律・司法書士事務所
自己破産手続きには多数の書類や専門的な知識が必要ですので、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
ただ、弁護士にも得意分野不得意分野がありますので、ここでは自己破産手続きに関して豊富な実績のあるおすすめの法律・司法書士事務所を紹介します。
紹介する3つの法律・司法書士事務所はどれも借金問題に精通しており、自己破産手続きのスペシャリストばかりです。
ぜひ参考にしていただき、自分に合った法律・司法書士事務所を見つけてください。
アヴァンス法務事務所
事務所名 | アヴァンス法務事務所 |
所在地 | 大阪本店:大阪市中央区北浜2丁目2-22 北浜中央ビル3F 東京支店:東京都千代田区神田和泉町1-1-14 パシフィックビル2F |
連絡先 | 大阪本店:0120-964-564 東京本店:0120-963-963 女性専用ダイヤル:0120-964-664 |
拠点数 | 2ヶ所 |
取扱業務 | 任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求 |
アヴァンス法務事務所は、借金問題に強い事務所です。相談実績は23万件以上と豊富で、相談料は無料となっています。
借金などの状況に応じて、任意整理・個人再生・自己破産の中から自分にとって最適なものを選んで借金問題の解決へと導いてくれる事務所です。大阪市中央区に本店が、東京都千代田区に支店があります。
自己破産の費用の目安は着手金として352,000円、予納金と印紙代など実費費用が40,000円程度です。
ベリーベスト法律事務所
事務所名 | ベリーベスト法律事務所 |
所在地 | 東京都港区六本木1-8-7 MFPR六本木麻布台ビル11階 |
連絡先 | 代表電話:03-6234-1585 代表FAX:03-6234-1586 |
拠点数 | 65カ所 (2023年1月現在) |
取扱業務 | 任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求 |
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで全国に拠点を持つ大手法律事務所です。387人の弁護士が在籍しており、スタッフうち半数が女性ということで、女性からの支持も高くなっています。
初回相談は60分無料で、対面だけでなくzoomでのオンライン面談も取り入れているため、遠方から依頼する方も少なくありません。さらに残業代請求、債務整理、過払い請求に関しては何度でも無料で相談できるほか、匿名での相談も受け付けています。
個人情報をすぐには教えたくないというかたでも安心して利用できますよ。
弁護士法人・響
事務所名 | 弁護士法人・響 |
所在地 | 西新宿:東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー14階 虎ノ門:東京都港区虎ノ門3-19-13 スピリットビル4階 立川:東京都立川市曙町2-16-6 テクノビル4階 大阪:大阪府大阪市中央区淡路町2-4-3 ISOビル6階 高松:香川県高松市寿町1-3-2 日進高松ビル7階 福岡:福岡県福岡市中央区舞鶴3-1-10 オフィスニューガイア セレス赤坂門NO.19 11階 那覇:沖縄県那覇市久茂地2-22-10 那覇第一生命ビルディング3階 |
連絡先 | 西新宿:03-6866-0289 虎ノ門:03-6704-9416 立川:03-6706-4809 大阪:06-6208-2341 高松:050-2017-3214 福岡:092-718-1620 那覇:050-2018-6835 |
拠点数 | 7ヵ所 |
取扱業務 | 任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求 |
弁護士法人・響は多数の弁護士が所属しており、メディアでの出演も多い大手の弁護士法人です。7つの事務所をかまえており、東京には西新宿、虎ノ門、立川の3つの事務所を、そのほか大阪、高松、福岡、那覇に事務所があります。
相談料は無料で弁護士費用は分割もでき、初期費用はかかりません。自己破産の場合費用の目安は着手金33万円~、報酬金22万円~となっています。
実際に自己破産した人の感想・口コミ
ここで、実際に自己破産をした人の口コミをご紹介します。
生活と心にゆとりが出来た夫がリストラにあい、生活が苦しくなってパートをしている私がカードローンを複数申し込みました。数枚のカードローンを契約してあっという間に多重債務状態に。どうしても来月返せないというところまできてやっと弁護士さんに自己破産について相談しました。話を聞いてもらいすぐ依頼すると督促の電話がピタリ止まり、弁護士さんからのアドバイスでそのまま生活保護も申請。もともと預金も車もなく、家も賃貸でしたので取られるものがなく、住んでいたアパートからは出ることになりましたが、今は生活保護の人が多い市営住宅で落ち着いて生活しています。私の場合は失うものがほとんどなかったので債務整理をしてよかったです。
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自己破産する前に思いとどまればよかった完全に自分が悪いが、遊ぶお金欲しさに銀行のカードローンを使いすぎて、限度額もどんどん増えて自分のお金だと錯覚していた。気づいたことには首が回らなくなっていて、差し押さえ寸前の状態。ネットで出てきた法律事務所に泣きつきました。すすめられるがまま自己破産の手続きをして車を失った。今は会社から遠いが実家で生活しながら信用情報が消えるのを待っている。借金をしたことにも自己破産をしたことも本当に後悔している。
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もっと早く自己破産を決断すればよかった個人事業主をしていましたが、材料費の高騰や買い控えでうまく利益が出ずついつい持っていたクレジットカードのキャッシングに手を出してしまいました。負債はどんどん膨らみ、ついに妻にバレ、もう事業もやめて自己破産をしようと言われたところで目が覚め、事業でお世話になっていた弁護士さんに相談し、事業を辞め自宅を手放すことになりましたがなんとか手続きを終え、妻の実家に身を寄せて今は何とか生活できています。もっと早く妻や弁護士さんに相談すれば任意整理などで済んだのかもしれないと思うと家族に本当に申し訳ない気持ちです。
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自己破産をした人の意見で多かったのは、取り立てがなくなって安心しているというものと、自宅がなくなって後悔したというものです。身をよせる場所があればいいですが、自己破産してしまうと賃貸を借りるのも難しくなります。
そのため、自己破産する前にまず任意整理ができないか確認することも必要です。
任意整理も実施すれば信用情報に傷ついてローンが組めない、金額が減るだけ返済は続けなければいけない、などのデメリットはありますが、家や車などの財産が差し押さえられることはありません。
自己破産するしかなくなるまで借金をしてしまえば、自分だけではなく結果的に家族の生活にも影響が出てきますよね。できれば自己破産しなければいけなくなる前に早めに相談して、任意整理などで対応した方がいいでしょう。
自己破産をしてもできること
自己破産をするとできなくなることや注意すべきことがある一方で、影響を受けないこともあります。
それが、こちらの3つの事です。
ここでは自己破産をしてもできることを紹介していきます。
生活保護は受けられる
自己破産しても生活保護に影響はありません。また、自己破産後に生活保護を申請する場合も過去に自己破産しているからといって生活保護が受けられないということはありません。
自己破産中に生活保護を受給していた場合は、そのまま受け取ることができます。これは、生活保護費が生活保護法で「差押禁止債権」とされているため、そもそも差し押さえすることができないからです。
ただし、生活保護費が口座振り込まれてしまうと、預貯金としてみなされてしまうため差し押さえられる可能性があります。そのため、自治体によっては差し押さえを防ぐために現金を手渡しているところもあるのです。
年金は受給できる
年金は国民年金法で差押禁止財産に指定されているため差し押さえすることが禁止されています。そのため、自己破産しても年金の受給は可能です。また、自己破産の手続き中も年金は受給できますし、自己破産後の年金受給にも何も影響はありません。
ですが、年金も生活保護費と同じで、口座に振り込まれてしまうと預貯金とみなされて差し押さえられる可能性はあります。
ただ、年金を現金で給付することはまずないため、自己破産した場合はまず差押命令を発した裁判所に「差押禁止債権の範囲の変更の申立て」をして、口座に振り込まれる年金を差し押さえられないように手続きをしてください。
戸籍や住民票、選挙権にも影響はない
自己破産したことが戸籍や住民票に記載されるかもしれないと不安になるかも知れませんが、これらの書類には自己破産の情報は乗りません。ただし、本籍地の市役所で発行される「身分証明書」には自己破産をしたことが記載されます。
身分証明書については事業の開業許可を貰ったり、国家資格などを取得する際に提出することはありますが、普段の生活の中で提出を求められることはほとんどありません。
そのため自己破産した後で、何らかの手続きなどで戸籍や住民票を他人に見られることがあっても自己破産したことがバレることはありませんので安心してください。
選挙権にも影響はありませんので、自己破産後も変わらず選挙に行くことができますし、立候補することも可能です。
自己破産の流れ
ここでは自己破産を実際に行うときの流れを説明していきます。ある程度流れを把握しておくことで、余裕を持って手続きを進めることが可能です。
手続きがどれくらいかかるかという目安としては、同時廃止事件の場合は3から4ヶ月程度、管財事件の場合は半年以上かかることもあります。
自己破産を検討している方はぜひ知っておいてください。
同時廃止事件
同時廃止とは破産手続きを開始決定したと同時に破産手続きを終わらせるという手続きです。
免責の手続きだけを行う簡単なものになります。個人の自己破産の多くが同時廃止事件です。
- STEP.1専門家へに依頼
自己破産手続きは必ずしも弁護士に依頼する必要はありませんが、スムーズに手続きが進めば債権者からの取り立てが止まるのも早くなります。
そのため、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談し依頼するのが無難です。
- STEP.2受任通知の送付
自己破産手続きを弁護士に依頼すると、弁護士が債権者に対して自己破産手続きを開始するという通知を出します。これが受任通知です。
受任通知には法的効力があり、受任通知が送付された時点でその後の取り立てや請求はできません。
弁護士によっては、当日に受任通知を送付してくれるケースもあります。
- STEP.3自己破産申立書の作成
自己破産を裁判所に申し立てるための書類などを準備します。
基本的に書類作成は弁護士が行いますので、弁護士に指示された書類を用意するだけです。
- STEP.4自己破産申し立て
裁判所に自己破産の申し立てを行い、面接で借金や資産の状況、自己破産に至った理由などを説明します。
面接には本人は同席しなくてもいい場合も多いです。
- STEP.5自己破産手続き決定
申し立ての同日に裁判所から破産手続開始決定と破産手続きの廃止決定が出されます。
- STEP.6免責審尋
決定が出た後、裁判所で最終的に免責を認めるかの免責審尋が行われます。
依頼者本人が裁判所に行く必要があり、氏名・住所や記載内容に変更・誤りがないか質問されることが多いです。
- STEP.7免責許可決定
免責審尋が終わってから、1週間ほどで免責許可決定が出されます。
官報に掲載された日から2週間が経過すると免責許可決定は確定となり、この時点で法律上借金を返済する必要は無くなるのです。
同時廃止事件は資産がほとんどないため、債権者に分配ができない場合の手続き方法です。
破産管財人による財産の調査や分配がないため費用も安く、手続きの期間も短く済みます。
管財事件
自己破産の申し立てを行った人にある程度以上の財産がある場合は管財事件となります。
管財事件の場合は破産管財人が財産の調査や換金、分配といった手続きを行うため費用が同時廃止事件に比べて高額になり、期間も長くなることが特徴です。
- STEP.1専門家へに依頼
管財事件についても必ずしも弁護士に依頼する必要はありませんが、スムーズに手続きが進めば債権者からの取り立てが止まるのも早くなります。
そのため、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談・依頼しましょう。
- STEP.2受任通知の送付
自己破産手続きを弁護士に依頼すると、弁護士が債権者に対して自己破産手続きを開始するという通知を出します。これが受任通知です。
受任通知には法的効力があり、受任通知が送付された時点でその後の取り立てや請求はできません。
弁護士によっては、当日に受任通知を送付してくれるケースもあります。
- STEP.3自己破産申立書の作成
自己破産を裁判所に申し立てるための書類などを準備します。
基本的に書類作成は弁護士が行いますので、弁護士に指示された書類を用意するだけです。
- STEP.4自己破産申し立て
裁判所に自己破産の申し立てを行い、面接で借金や資産の状況、自己破産に至った理由などを説明します。
面接には本人は同席しなくてもいい場合も多いです。
- STEP.5自己破産手続き決定
申し立ての同日に裁判所から破産手続開始決定が出されます。
- STEP.7破産管財人選任
破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任されます。
破産者の自由財産を除いて、弁護士である破産管財人が管理処分権をもつことになります。
この時、破産管財人に報酬として引継予納金の納付が必要です。
- STEP.8破産管財人による管財業務
破産管財人は、破産者の資産管理や調査を行い、債権者に配分する資産を調べていきます。
この結果を後日裁判所で開かれる債権者集会で報告し、債権者に配当期日が通知されることとなるのです。
破産者は調査に協力し債権者集会に出席する義務があります。
- STEP.9免責審尋
裁判所で最終的に免責を認めるかの免責審尋が行われます。
依頼者本人が裁判所に行く必要があり、氏名・住所や記載内容に変更・誤りがないか質問されることが多いです。
- STEP.10免責許可決定
免責審尋が終わってから、1週間ほどで免責許可決定が出されます。
官報に掲載された日から2週間が経過すると免責許可決定は確定となり、この時点で法律上借金を返済する必要は無くなるのです。
管財事件の中には少額管財事件とよばれるものもあります。
少額管財事件は予納金という破産管財人への報酬が少なく、また期間も通常の管財事件に比べて短くなることが多いです。
自己破産に関するQ&A
自己破産に関するよくある質問・疑問をまとめました。
自己破産は自分で依頼できる?
自己破産は自分で行うことも可能です。ですが、自己破産の申し立てに必要な書類は複雑であり、必要な書類が十分でないと管財事件となったり、免責の許可が下りない可能性があります。
こういった事態を避けるためにも、自己破産は弁護士に依頼することをおすすめします。
自己破産は2回目でもできる?
自己破産を2回することは可能です。ただし、原則として1回目の自己破産から7年が経過していないと免責されません。
また、審査は1回目よりも厳しいものになります。
自己破産すると会社に解雇されるって本当?
自己破産しても会社を解雇されることはありません。自己破産を理由に解雇することは法律で認められていません。ですので、例え自己破産したことが会社にバレたとしても、解雇されるという最悪の事態は避けることができます。
ただし、自己破産手続き中は資格制限により就けない職業があります。
家族にどんな影響がある?
自己破産しても基本的に家族には影響ないです。借金を家族が肩代わりする必要もありません。また、同居していないのなら家族に自己破産がバレる可能性も低いです。
ただ、保証人や連帯保証人に家族がなっている場合は借金の返済を求められることになりますし、当然自己破産したことがバレることになります。
持ち家はどうなる?
持ち家についても財産とみなされます。20万円以下の財産は持ち続けることが可能ですが、住宅の価値が20万円以下となることは考えにくく、処分されることが一般的です。
ただし、自己破産後にすぐに引っ越さなければならないということはありません。退去日までは住み続けることが可能で、競売となる場合は手続き開始から数ヶ月以上はかかることが多いです。
まとめ
今回は自己破産をするとどうなるか?ということについて解説しました。
自己破産の仕組みやメリット・デメリットなど、自己破産について気になる点を説明していますので参考にしていただければ幸いです。
最後に重要点をまとめますと
- 自己破産は免責が認められると借金の返済が不要になる(税金など除く)
- 自己破産しても99万円以下の現金や価値が20万円以下の財産は保有可能
- 周囲に自己破産したことがバレる可能性は低い
- 自己破産するとブラックリストにのり、ローンやクレジットカードが利用ができなくなる
- 自己破産手続きで必要な書類は多く、免責を勝ち取るためにも実績のある専門家に依頼するのがおすすめ
となります。
借金問題でお困りであれば、この記事を参考に借金問題の解決方法の一つとして、自己破産を検討してみてください。
自己破産というとネガティブなことばかり思い浮かぶ方も多いと思います。自己破産の内容をよく理解しないと、いたずらに不安が募ってくる場合が考えられます。自己破産にはデメリットだけでなく自己破産のメリットもあります。借金問題及び自己破産について気になることがあったら、自分一人で思い悩まず、まずは実績のある専門家に相談してみましょう。
立花信一