新電力とは2016年に始まった電力自由化を皮切りに電気事業に参入してきた新しい電力会社のことです。
新電力に乗り換えると、電気代が安くなったり、今契約している大手電力会社にはないサービスを受けられたりとメリットがたくさんあります。
この記事では、そもそも電力自由化とは何か、新電力が安いのはなぜか、新電力に乗り換えたら停電しないのか、といった疑問にお答えしていきます!
目次
そもそも電力自由化・新電力とは
電力は国の重要なインフラであり、安定供給が不可欠であることから、以前は大手電力会社10社(東京電力・関西電力など)が担当地域を割り当てられ、発電・送電・販売までを独占的に行っていました。
「電力自由化」とは、電力の販売(小売り)の部分が自由化されたことを指します。また、自由化以降に参入した新しい電力会社を「新電力」と呼んでいます。
電力自由化はいつから始まった?
電力の小売自由化は、2000年3月から始まりました。最初は大規模工場や大型オフィスビルなどの「特別高圧」の区分から自由化され、2004年・2005年には小規模工場や中小ビルを含む「高圧」の区分へと拡大しました。
さらに2016年には、一般の家庭や商店の「低圧」が電力小売自由化の対象となり、全ての電気を使う消費者が、電力会社を自由に選べるようになったのです。
電力自由化の目的
資源エネルギー庁によると、電力自由化の目的には次のようなものがあります。
- 電力の安定供給を確保する
- 電気料金を最大限抑制する
- 電気利用者の選択肢を増やし、企業の事業機会を拡大する
引用:資源エネルギー庁
電力を地域ごとに供給するのではなく、異なる地域でも融通しあうことで、大規模災害時にも安定供給を支えることができます。
また、電力会社の小売業者が増えることで競争原理が働き、電気料金の値下げや新しいメニューが生まれ、ライフスタイルに合わせて電力会社を選ぶことができるようになりました。
携帯電話のキャリアを思い浮かべてみるとわかりやすいかもしれません。
以前は大手キャリアであるdocomoやau、softbankの回線しか使えませんでしたよね。 しかし、今ではUQモバイルや楽天モバイルといった大手キャリア以外の会社が携帯電話事業に参入しています。
このようにいろいろな企業が参入することで、価格競争が起き、”格安” ”格安SIM”などと呼ばれるようになったのです。
電力自由化・新電力の仕組み
新電力は新しく電気事業に参入してきた会社なので、電気の販売に関する不安や疑問などがあるかもしれませんね。
よくユーザーに聞かれるのは、供給時のトラブルがないか、停電のリスクがないのかといったところです。
しかし、これらは新電力がどのような仕組みで電力の供給を行なっているかを理解しておけば不安になることはありません。
新電力に関するよくある質問はこちらで回答しています。
新電力から家庭や企業への電気供給の仕組みは同じです。
というのも、電力自由化によって自由化されたのは電気の小売事業(電気の販売)だけです。 販売した後に、家庭や企業などに届けるための送電線や配電線などの送配電事業者は、電力自由化前も後も変わりません。
つまり、大手電力会社も新たに電気事業に参入してきた新電力も同じ送電線を使って電気を使用先に送るということです。
そのため、新電力であっても大手電力会社であっても電気の質は同じで、停電リスクも新電力だから大きいということは決してありません。
電力自由化・新電力のメリット・デメリット
新電力に乗り換えると、どんなメリットがあるかを説明します。ただし、乗換で損してしまうこともあるので、そちらも確認していきましょう。
電力自由化・新電力の3つのメリット
- 電気代が安くなる
- 電気の安定供給ができる
- 契約先の電力会社を選べる
①電気代が安くなる
そもそも電力自由化の目的は、各電力会社・新電力会社に価格競争をさせて、電気料金を下げることです。
そのため、各会社からいろいろな料金プランが提供されているので、ライフスタイルや世帯人数に合わせた料金プランを選べば、電気代を安くできるというメリットがあります。
また、新電力によっては、キャンペーンやポイント特典を用意している企業もあるので、電気代が安くなるだけではなく、プラスでサービスを受けることもできます。
②電気の安定供給ができる
2011年の東日本大震災の際、長い間停電が起こっていたことを覚えていますか?
なぜ長期間に渡って電気の供給がストップしていたかというと、当時は電力自由化がはじまっていなかったため、被災した地域を管轄している大手電力会社しか電力供給ができなかったからです。
そのため、大手電力会社からの供給が再開されるまでの間、停電していたのです。
しかし、電力自由化が開始したことで、電気が供給される会社が限定されなくなったので、今後は万が一停電しても復旧までにかかる時間が短縮されることは間違いありません。
③契約先の電力会社を選べる
これまでは居住エリアを管轄している電力会社でしか契約できませんでしたが、電力自由化により居住エリアに電気を供給している新電力で、条件が合えばどの会社でも契約することができるようになりました。
料金プランやサービス内容を考慮して、契約先が検討可能です。
電力自由化・新電力の2つのデメリット
- 選択肢が多い分、選ぶのが大変
- 必ずしも安くなるわけではない
①選択肢が多い分、選ぶのが大変
これはメリットとも言えますが、多くの新電力が参入してきたことにより、料金プランやサービス内容が多種多様です。
冒頭で選び方について説明しましたが、選択肢が多いことで、本当に安くなる料金プランを選べなかったり、契約した後にこっちの新電力の方がよかったと思ってしまう可能性もあります。
②必ずしも安くなるわけではない
先ほども説明した通り、多くの新電力が参入していることから選択肢もたくさんあります。
しかし、中には契約者のライフスタイルや世帯人数に相応しない新電力や料金プランを選んでしまったことから、かえって電気代が高くなってしまうケースがあります。
これは、あまり電力自由化・新電力について詳しくない方や、1社だけの料金プランをみて契約してしまった方が多く当てはまるようです。
失敗しないように、新電力を選ぶ際は何を重視しているかを1〜2つ絞った上で、2〜3社を比較するようにしましょう。
電力自由化・新電力に関するよくある質問FAQ
新電力について気になる点についてまとめました。不安に思うところもあるかもしれませんが、ここで解決しておきましょう!
①新電力に切り替えたら停電するって本当?
前述した通り、新電力だから停電しやすい、ということは決してありません。
停電は、供給元のトラブルなのか、送電トラブルなのかによって原因が異なります。
供給元のトラブルの場合は新電力が原因だと言えますが、といっても他の電力会社でも起こり得ることです。 送電トラブル(電線が切れてしまったり)の場合、新電力・大手電力会社に関わらず停電します。
③新電力への切り替えは面倒って聞いたけど…
実は切り替え手続きはとても簡単です。
契約者が行う手続きは、切り替え先の新電力に契約の申し込み(Webまたは電話での申し込み)をするだけ!
現在契約している電力会社または新電力には、新しく契約する新電力が解約の手続きをしてくれます。
④解約するときにお金はかかる?
契約している新電力によります。
基本的には、解約金無料の新電力が多いですが、契約先によっては契約期間中に解約すると違約金が取られるケースもあります。
引っ越し先で新電力に契約したい場合はどうする?
まず、契約したい新電力が電気供給をしているエリアなのかを確認しましょう。
⑤新電力は詐欺って聞くけど本当?
すべての新電力が詐欺だというわけではありません。ほとんどの新電力は運営元が明らかな業者です。
しかし新電力の中には、訪問営業をしている会社があります。新電力は新しく電力事業に参入してきた新規の会社なので、営業マンの中には知識が不十分な人もいるようです。
そのため、なんとなくの状態で説明してしまったり、業績が悪いにも関わらず契約を迫ったりして、詐欺だと思われる可能性はあります。
もし自宅に営業マンが来訪してきても、その場ですぐに契約せず、必ずインターネットで口コミや評判を検索し、納得した上で契約するようにしましょう。
⑥新電力はなぜ安いの?
新電力の安さの秘訣は先ほど説明した通り、多くの電力会社・新電力が価格競争をしているからです。
各新電力で何かしらの突出した料金プランやサービスを展開するために磨きをかけているのです。
⑦賃貸マンション・アパートでも契約できる?
新電力は賃貸マンションやアパートでも契約することができます。
基本的に引っ越しの際に、自分で電気の開通作業(電力会社への連絡など)をした場合は、新電力への契約が可能だと考えて問題ないかと思います。
賃貸マンション・アパートで新電力に乗り換えできないケースは、マンションで一括受託している場合や電力会社ではなく大家さんに電気代を払っている場合です。
お住まいのマンションやアパートが乗り換えできるかわからない方は管理会社に確認すると教えてもらえますよ。
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まとめ
電力自由化に伴い電気事業に参入した新電力についての説明をしてきました。
「新電力に乗り換えると安くなるらしい」というのはなんとなく分かったかと思います。
せっかく新電力が大手電力会社に比べて安い料金プランを提供しているのに乗り換えないのはもったいない!ぜひこの機会に新電力への乗り換えを検討してみてくださいね♪