戸建住宅やマンションなど売却したい物件があるとき、一つの不動産会社だけに査定見積もりを依頼するのはおすすめできません。
「できるだけ高く売却する」だけでなく、「信頼のおける不動産会社と取引する」ためにも、不動産一括査定依頼サイトのような複数の業者を比較考慮したうえで売却の可否を決定できるサービスを活用するべきです。
ただし不動産一括査定依頼サイトも多くの種類がありそれぞれ運営会社やサービス内容等も異なるため、どれを選べば良いのか分からないという方は多いでしょう。
そこで今回は、おすすめできる7つの不動産一括査定依頼サイトや、選ぶ際に売り主が注意すべき点など、今後不動産売却を考えている方にとって役に立つ内容を解説していきます!
目次
おすすめの不動産売却一括見積もりサイト7選【無料でも相談できる!】
不動産売却を行う前に利用したい、一括見積もりサイトを7つ紹介していきます。無料でも相談できるので、一度試してみてください。
- 年間20万件以上の利用実績があるイエウール
- 最短45秒で簡単査定ができるリビンマッチ
- AI査定ができるおうちクラベル
- 9社を一括査定できるマンションナビ
- 宅建資格を持つコンシェルジュがサポートするサテイエ
- 厳選された不動産会社と提携しているRE-Guide不動産一括査定
- 20年以上の不動産査定実績があるHOME4U
①イエウール ※1
対象エリア | 全国 |
利用者数 | 累計約1,000万人 |
提携社数 | 2,000社以上 |
同時依頼社数 | 最大6社 |
運営会社 | 株式会社Speee |
最初に紹介するのは株式会社Speeeが運営する「イエウール」という不動産一括査定依頼サイトです。
イエウールの特徴は以下の通りです。
- 6社の不動産会社が比較できる
- 年間20万件以上の利用実績がある
- 最短60秒で簡単査定ができる
- 一括査定依頼利用者からも高評価
6社の不動産会社が比較できる
イエウールは全国にある2000社以上の不動産会社に対応しているため、非常に多くの選択肢の中からもっとも良い不動産会社を選択できます。
提携先の不動産会社には、全国対応している大手の会社だけでなく地元に密着した企業も多く含まれています。そのため地元の不動産事情に精通しており、売却時に融通を効かせてくれる可能性が高いです。
年間20万件以上の利用実績がある
イエウールは年間で20万を超える売却成立サポートの実績があります。査定実績が高いほど多くの売り主が利用しているということなので、信頼性が高い不動産一括査定依頼サイトだと判断できますね。
さらにイエウールは、月間の利用者数および査定対応エリア数でも第一位を記録した(東京商工リサーチ調べ)と公表しています。
最短60秒で簡単査定ができる
イエウールは公式サイト上で簡単査定サービスが利用可能であり、最短60秒の入力で簡単査定依頼が可能です。ネット環境があればスマートフォンやパソコンなどでいつでも査定が行えるのはとても便利です。
イエウールで簡単査定を行う際は、不動産の詳細情報と個人情報の入力が必要です。査定結果は数日以内に電話またはメールで行われます。
一括査定依頼利用者からも高評価
イエウールで実際に不動産一括査定依頼を行った利用者は、不動産売却までのサポートの丁寧さや距離感、取引が完了するまでのスピードの早さなどを高く評価しています。
ある利用者にとっては複数の一括査定依頼サイトを利用し、イエウールでの査定額が最高額ではなかったようですが、それでも最終的にイエウールを通じた取引を選んでいます。
理由としては、手続きが迅速で正確だったことを挙げています。
※1 本記事は(イエウール)の運営元である株式会社Speeeの委託を受けて作成しております。
②リビンマッチ
対象エリア | 全国 |
利用者数 | 累計約440万人 |
提携社数 | 約1,700社 |
同時依頼社数 | 最大6社 |
運営会社 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
2つ目に紹介するのは、リビン・テクノロジーズ株式会社が運営する「リビンマッチ」という不動産一括査定依頼サイトです!
リビンマッチの特徴は次の通りとなっています。
- 年間12万件の実績がある
- 全国約1700件の不動産会社に対応
- 最短45秒で簡単査定ができる
年間12万件の実績がある
リビンマッチは年間12万件の査定依頼・資料請求実績があります。
株式会社マーケティングアンドアソシエイツの調査において、2022年9月中の査定サイト認知度・使ってみたい不動産査定サイト第1位を記録したと公表しています。
査定依頼数などの実績は不動産一括査定依頼サイトの信頼性に直結するため、選ぶときの分かりやすい基準となります。
全国1700件の不動産会社に対応
リビンマッチは全国1700件の不動産会社に対応しており、最大6社まで同時に一括査定依頼が可能です。一括査定依頼はすべて無料で利用可能であり、申込みから数日で査定結果が届きます。
最短45秒で簡単査定ができる
リビンマッチの公式サイトでは、最短45秒入力で一括査定依頼が可能です。物件の形態・物件種別・住所等の情報を入力するだけで査定申し込みができます。もちろん一括査定依頼は無料で利用できます。
③おうちクラベル
対象エリア | 全国※一部地域は対象外 |
利用者数 | 非公開 |
提携社数 | 非公開 |
同時依頼社数 | 最大15社 |
運営会社 | SREホールディングス株式会社 |
3つ目に紹介する不動産一括査定依頼サイトは「おうちクラベル」です。以下の特徴についてそれぞれ解説していきます。
- ソニーグループ関連会社が運営
- 「AI査定」に対応
ソニーグループ関連会社が運営
おうちクラベルを運営しているのは、国内大手ソニーグループの関連会社である「SREホールディングス」です。
一括査定依頼の対象である不動産会社もSREホールディングスが選定しているため、どの会社も実績と信頼度が高く、詐欺等のトラブルに直面する心配をせずに安心して査定依頼ができます!
AI査定に対応
おうちクラベルが他と異なるのは、一括査定依頼を申し込んだ段階でAIが査定した予測価格を知ることができるという点。AI査定では膨大なデータから形成された独自のアルゴリズムを用いるため、正確性も高いです。
AI査定により人が判断するまでもなく物件の相場が分かるため、複数の不動産会社を比較したい際に便利ですね。
④マンションナビ
対象エリア | 全国(大都市中心) |
利用者数 | 累計約500万人 |
提携社数 | 900社以上 |
同時依頼社数 | 最大9社 |
運営会社 | マンションリサーチ |
4つ目に紹介する不動産一括査定依頼サイトは「マンションナビ」です。マンションナビのおすすめポイントは以下の4つです。
- 累計500万人以上の利用者実績がある
- 一度に9社を一括査定依頼できる
- ウェブ上で推定査定価格を確認できる
累計500万人以上の利用者実績がある
マンションリサーチ株式会社が運営するマンションナビは、毎月1000人以上・累計で500万人以上の利用実績があることを公表しており、多くの人に利用されていることが分かります。
マンションナビはその名の通りマンションの売買に特化しており、同サービスで扱っているのも中古マンションに限定されています。それでいて不動産一括査定依頼サイトのイメージ調査で1位を獲得するなど、ユーザーからの信頼度も高いです。
不動産の中でもマンションの売却を考えている方にもっともおすすめできる不動産一括査定依頼サイトと言えるでしょう。
一度に9社を一括査定依頼できる
マンションナビは、最大9社の一括査定依頼に対応しています。ほとんどの不動産一括査定サイトは最大6社までなので、比較できる対象が多いのはうれしいですよね。
ただし売買が6社まで、賃貸が3社までとなっていますのでご注意ください。
ウェブ上で推定査定価格を確認できる
マンションナビは、一括査定依頼を申し込む前に「WEB価格相場」によっておおよその価格相場をチェックできます。
正確な査定額を知るには一括査定依頼を申し込む必要がありますが、とりあえず相場だけでも確認しておきたい方や、早めに売却のスケジュールを立てておきたい、という方にとって役に立ちますよ。
⑤サテイエ
対象エリア | 関東地方 |
利用者数 | 累計約500万人 |
提携社数 | 1,400社以上 |
同時依頼社数 | 最大6社 |
運営会社 | 株式会社SARUCREW |
次に紹介するのは、株式会社SARUCREWが運営する「サテイエ」という不動産一括査定依頼サイトです。当サービスには次のような特徴があります。
- 最大6社の一括査定依頼が可能
- 最短30秒で簡単査定依頼が完了
- 宅建資格を保有したコンシェルジュがサポート
最大6社の一括査定依頼が可能
サテイエは全国の1000以上の不動産会社と提携しており、最大で6社まで提案してくれます。
また累計で218万人以上の査定実績があり、実際に査定を依頼した売り主からも高い評価を得ているようです。
最短30秒で簡単査定依頼が完了
サテイエはウェブ上で簡単査定を申し込むことが可能であり、最短30秒で申し込みができるのが特徴です。
査定料金は完全無料であり、物件の設計図や登記簿謄本などの資料がなくても申し込みが可能です。依頼する業者もすべてサテイエが選出した不動産会社であるため、詐欺等の心配をせずに利用できます。
宅建資格を保有したコンシェルジュがサポート
サテイエで簡単査定を申し込むときは、宅建資格を保有した専任のコンシェルジュが対応してくれます。不動産売買に関して専門的な知識を持っている人が対応してくれることがわかっているため、不動産売買に伴って査定を初めて申し込むような方でも安心できます。
またサテイエは、自社から営業電話を行わないことを約束しているため、何度も営業電話やかかってきたり、ダイレクトメールが届くようなことがないため安心できます。
⑥RE-Guide不動産一括査定
対象エリア | 全国 |
利用者数 | 累計約1,000万人 |
提携社数 | 800社以上 |
同時依頼社数 | 最大10社 |
運営会社 | 株式会社ウェイブダッシュ |
6つ目に紹介するのは「RE-Guide不動産一括査定」というサービスです。このサービスがおすすめできる理由は次のとおりです。
- 17年間運営の実績
- 厳選された不動産会社と提携
- 最大10社の査定ができる
17年間運営の実績
「RE-Guide不動産一括査定」を運営している株式会社ウェイブが設立されたのは2014年9月ですが、当不動産一括査定依頼サイトは2006年から「SBI不動産ガイド」として運営されているため、実際は約17年に渡る実績があります。
厳選された不動産会社と提携
多くの不動産一括査定依頼サイトは「提携先の不動産会社が多い」ことを売りにしていますが、RE-Guide不動産一括査定の提携先は「厳選された900社」となっています。
これは独自の審査に通過した業者のみで構成されているからであり、量より質を重視している一括査定依頼サービスであることが分かりますね。査定の金額よりも不動産会社の信頼性や実績を重視している方におすすめです。
最大10社の査定ができる
RE-Guide不動産一括査定依頼は最大で10社の査定が可能です。
そのため、なるべく多くの不動産会社を比較して決めたいと考えている方におすすめといえるでしょう。
⑦HOME4U
対象エリア | 全国 |
利用者数 | 累計約612万人 |
提携社数 | 1,800社以上 |
同時依頼社数 | 最大6社 |
運営会社 | 株式会社LIFULL |
最後に紹介するのは、株式会社NTTデータスマートソーシングが提供する「HOMU4U」という不動産一括査定依頼サイトです。
特徴は次の通りとなっています。
- 20年以上の不動産査定実績
- NTTグループのセキュリティ体制や信頼性
- 厳選した1800社の不動産会社と提携
20年以上の不動産査定実績
HOMU4Uがサービスを開始したのが2001年であるため、現在に至るまで20年以上の実績があり、業界の中でもトップクラス、国内最大級の老舗一括査定依頼サイトとなっています。
また、規模が大きいだけでなく実際の利用者からの満足度も高く、情報量の多さやマッチングの正確さなどで高い評価を獲得しているようです。
NTTグループのセキュリティ体制や信頼性
HOMU4Uの運営がNTTデータグループであり信頼性が高いことはもちろん、大手の強みを活かして最高度のセキュリティ体制が敷かれています。
不動産一括査定依頼サイトを利用する際の個人情報取り扱いについて不安を持っている方は少なくないですよね。万が一のことも考えて、運営会社の実績やセキュリティレベルの高さを重視してHOMU4Uを選ぶのも良いでしょう。
厳選した1800社の不動産会社と提携
HOMU4Uは、NTTデータグループが厳選した1800以上の不動産会社と提携しています。
そのため、信頼できる業者とだけ取引したいと考えている方におすすめです。
不動産売却の見積もり方法の違い
不動産売却を行う前には、物件の相場や自分の希望額等とのすり合わせを行うために必ず見積もりを行いますが、見積もり方法によって査定に要する時間や料金、査定額等が変わってきます。
不動産売却を行う際の、代表的な2つの査定方法についてそれぞれ解説していきます。
簡単査定
不動産売却を行う際の代表的な査定方法である「簡単査定」(サービスによって名称が異なる:「カンタン査定」や「無料一括査定依頼」など)とは、特定の企業が運営する不動産一括査定依頼サイトの一括査定依頼サービスを用いて、複数の不動産会社へまとめて見積もり依頼を出す方法のことを指します。
簡単査定で利用する不動産一括査定依頼サイトには、基本的に複数の不動産会社が登録されており、多ければ2000社以上と提携している場合も。その中から、不動産一括査定依頼サイトの方が売り主の希望に合った不動産会社をいくつか選定してくれます。
不動産一括査定依頼サイトでは、個人情報や物件の詳細情報を入力するだけで、運営が不動産会社に対して一括で査定依頼を出すことができます。中には物件の詳細情報の必要なしに、おおよその相場を提示してくれるサービスを展開している査定サイトもあるとのことです。
基本的に不動産の査定結果は数日で電話・メール等の形式で届きます。簡単査定であるため査定額はあくまで見積額であり決定事項ではありませんが、売り主は相場を理解したうえで複数社を比較できますね。
簡単査定のメリット
簡単査定を利用するメリットとしては、次の2点が挙げられます。
- 複数の不動産会社へまとめて見積もりできるから時短になる
- すぐに査定結果が分かる
簡単査定における一番のメリットはやはり、複数の不動産会社に一括で見積もり依頼が可能という点です。それぞれの不動産会社へ査定手続きを行う手間も省くことができます。
この一括査定依頼という仕組みは、そもそも不動産を「売却するかどうか迷っている」方にとってもメリットがあります。
簡単査定を行ったからといって、いずれかの不動産会社に必ず売却しなければならないという決まりはなく、査定結果を確認し、相場を把握してから売却の可否を決定することが可能です。
また、簡単査定は見積もり依頼を出してから結果が判明するまで、数日程度と早いのもメリットです。見積もり依頼自体はそれぞれの不動産会社に対して行うためばらつきはありますが、それでも相場を知るだけであれば一週間とかからずに把握ができます。
簡単査定のデメリット
簡単査定には、次のようなデメリットもあります。
- 査定額はあくまで概算であるため実際の売却額は変わる可能性がある
- 選ぶ不動産一括査定依頼サイトで連携数や見積もり依頼上限が異なる
不動産一括査定依頼サイトでの簡単査定は、あくまで利用者である売り主より提供された物件の詳細情報だけを元に査定を行います。そのため不動産の状態によっては、実際の売却額が査定額よりも大幅に下がる可能性があるのです。
また簡単査定が可能な不動産一括査定依頼サイトは、サービスによって提携している不動産会社の数や、一度に査定が実施できる数の上限が異なるため注意が必要です。あらかじめ売却先候補がいくつかに絞れている場合は、サービスがそれらの不動産会社と連携しているかも確認する必要があるため、売り主によっては面倒な作業と感じることもあるでしょう。
※上記でご説明させて頂きました「簡単査定」は「机上査定」ではございません。
訪問査定
不動産売却における訪問査定とは、実際に不動産会社が不動産へ訪問し査定する方法です。訪問査定は「実査定」や「本査定」とも言われており、不動産会社の社員が物件のある場所を訪れて、物件の状態やアクセスの良さなど査定に必要な情報を事細かにチェックしていきます。
訪問査定はその場で査定が完了しすぐに金額を教えてくれるものと考えている方もいますが、基本的には結果が分かるまで、訪問から数日〜1週間程度が必要です。
ちなみに、訪問査定の対義として用いられているのが「机上査定」という査定方法です。机上査定は不動産会社の社員が直接物件を訪れずに、データだけで査定を行うことを意味しています。金額の算出には、以下の代表的な3つの手法が用いられます。
- 取引事例比較法:過去の取引事例等から金額を算出する方法
- 原価法:売却物件の再調達価格(同等物件の新築にかかる費用)を算出する方法
- 収益還元法:物件の収益性(賃貸した場合等)に着目して評価額を算出する方法
机上査定は、一般的に訪問査定の前段階に行うものです。訪問査定はウェブ上でも申し込めるため便利な査定方法ではありますが、正確に査定するためには結局訪問査定が必要となるため、机上査定を挟まずに最初から訪問査定を実施してもらった方が貴重な時間を浪費せずに済むでしょう。
訪問査定のメリット
訪問査定を利用するメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 正確な売却額が分かる
- 不動産をすでに決めている場合は簡単査定よりも早い
訪問査定は不動産会社の社員が実際に住宅を訪れ、外壁や内壁の老朽化などの「状態」だけでなく、周りの建物や土地・道路の状態などをもれなく観察し、事細かな基準をもって査定を行います。
正確な査定額を算出できるのですが、一般的には一括査定依頼の結果よりも売却額が下がる場合が多いです。
そもそも不動産の最終的な売却額は実際に不動産の状態を考慮して決定されるため、訪問査定を選択しない方が高く売れる、ということはありません。これは不動産会社が売買を仲介するケースでも、不動産会社が直接物件を買い上げるケースでも同じです。
また、最初から売却先の不動産会社を決めている場合は一括査定依頼を行わずに、最初から訪問査定をしてもらった方が早いこともあります。過去に取引した経験があったり、すでに多くの実績がある大手の不動産会社であることが明らかな場合は、一つに絞るのもいいでしょう。
訪問査定のデメリット
訪問査定のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 複数の不動産会社に査定を申し込むとかなり時間がかかる
- 売却を急いでいなければ最初に簡単査定をした方が良い
売却先として複数の候補がある場合、結果が出るまでに時間がかかります。
売り主と不動産会社との間で訪問のスケジュールが合わなければ、訪問してもらい結果が分かるまでに数週間以上かかってしまう可能性もあるようです。
余計な日数を掛けないためにも、もし複数の不動産会社に訪問査定を依頼したい場合は、簡単査定によって2、3社ほど候補を絞り込んでおくことをおすすめします。そうすることで無駄な時間やコストを浪費せずに済みますし、業者間の比較考慮も容易になりますよ。
無料査定・有料査定の違い
不動産の査定には無料査定と有料査定の2つがあります。無料査定とは、ここまで解説してきた「不動産会社が実施する査定」のことですが、有料査定は不動産会社ではなく「不動産鑑定士」という国家資格を保有している人が査定を行う方法です。
基本的に不動産鑑定士よりも不動産会社が査定した方が高くなります。しかも不動産鑑定士が鑑定したからといって、買い主は鑑定額と同額で購入しなければならない義務がないため、売却を早く進めるために利用することもできないのです。
また、不動産鑑定士による有料査定は場合によって数十万円の費用がかかります。実際に、とある不動産鑑定士が設定している「不動産鑑定評価費用」の例をご覧ください。
評価額 | 更地 | 土地と建物 | 農林・山林 | 賃料など |
~1000万円 | 161,000 | 210,000 | 314,000 | 314,000 |
~2500万円 | 199,000 | 301,000 | 494,000 | 494,000 |
~5000万円 | 253,000 | 398,000 | 590,000 | 590,000 |
正確に言えば、不動産鑑定士が行うのは査定ではなく鑑定です。
不動産鑑定士は「不動産の鑑定評価に関する法律」に準拠する形で非常に正確な売却額を試算し、「不動産鑑定評価書」を発行します。その評価書には法的な証拠力があるため、相続の裁判等で法的根拠が必要な場合などに、不動産鑑定士が鑑定した内容が判決に影響を及ぼします。
そのため、有料査定は一般の住宅を売却するようなケースでは利用されないのがほとんどです。
不動産一括査定サイトの仕組み
不動産一括査定サイトはどのような仕組みで運営されているのでしょう。
そもそもどういったサイトなのかやメリット・デメリットについてご紹介します。
不動産一括査定サイトとは
(引用元:HOME4U)
不動産一括査定サイトとは、ネット上で売却したい物件の簡単な情報を入力すると、複数の会社に一括して物件の査定依頼ができるサイトの事です。
そのサイトを通して相見積もりを取るため、物件を買いたいと思っている不動産屋会社であれば、他の会社に買われないように高めの金額を出してくれることもあります。
不動産一括サイトの査定は無料で利用できますが、これは、契約が成立した際に不動産会社が査定サイトの運営会社に手数料を支払うためです。そのため、利用者は余計な金銭的負担をかけずに物件の売買を進めることができます。
不動産一括査定サイトのメリット
ここでは、不動産一括サイトのメリットをご紹介します。
無料で利用できる
不動産一括サイトの査定は無料で利用できます。
不動産一括サイトの運営会社は、提携している不動産会社からの支払いで収入を得ているため、利用者には金銭的負担はかからないようになっているのです。
ただ、不動産一括サイトを利用した場合、不動産会社へ仲介手数料を支払う場合が多いため、その費用はあらかじめ想定しておく必要があります。
高く売れやすい
不動産一括査定サイトを使えば、売却したい物件を高く売ることも可能です。
複数社に一括して依頼することで、不動産会社がどうしても欲しいという物件であれば競争相手の会社に買われないように金額を高く出す傾向にあります。このため、見積もりを依頼した会社ごとに査定額が数百万円違うこともしばしばです。
そのため、なるべく高く売りたい方は、一社に依頼するより不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめですよ。
すぐ売れやすい
不動産一括査定サイトを使えば、物件をなるべく早く売却することもできます。
地元の不動産会社に依頼すると、その会社のやる気や担当者の実力によって、売却が成立するまでの期間が大きく変わってきます。そのため、早く売りたいのになかなか売れないということも多いです。
不動産一括査定サイトを利用した場合、遠方の不動産会社にも依頼できるため、間口が広がりより売却が成立しやすくなると言えるでしょう。
24時間いつでも依頼可能
所有している不動産を売りたいけど、相談に行く時間がない…という方にも、不動産一括査定サイトはおすすめです。
不動産一括査定サイトは営業時間がある店舗ではないため、ネット上で24時間いつでも査定の申し込みが出来ます。そのため、忙しくて不動産会社に行けないという方にピッタリです。
査定結果も自分の好きな時間にじっくり見ることができますので、自分のペースで売却を進めることができます。
不動産一括査定サイトのデメリット
しつこい電話営業がある
不動産一括査定サイトを利用した場合、しつこい電話営業をかけてくる業者もいます。
査定を依頼しているわけですから、実際に物件を見るために日程調整の連絡をすることは仕方ないと言えるでしょう。ただ、あまりにしつこいようであれば、無理に対応せず不動産一括査定サイトの運営会社に相談するのも一つの手です。
また、査定依頼の段階であらかじめ可能な連絡時間を設定したり、連絡手段としてメールを指定したりして自衛することも大事だと言えます。
悪質業者に遭遇する可能性がある
不動産一括査定サイトに登録している会社の中には、ごく少数ですが悪質な会社も存在するようです。
しつこい電話勧誘はもちろんのこと高額見積もりを提示して後から値下げを要求するなんてことも。そんな業者にあたってしまえば、不動産の売却どころではなくなってしまいますよね。
もし、少しでも怪しいなと思ったら、提示された条件を鵜呑みにせず信頼できる人に相談しましょう。
見積金額に違いがありすぎる
不動産一括査定サイトを利用した人が一番困るのは、見積金額が不動産会社によって全く違うことです。
これはメリットでもあるのですが、不動産会社ごとに査定額が数百万円違うことが少なくないため、どの査定額が正しいのかわからず混乱してしまうこと。
金額だけで選ぶと悪質業者の可能性もありますし、安く売却してしまっても本末転倒です。
もし目安の金額が知りたい場合は、国土交通省の土地情報総合システムを利用すれば、不動産の実際の取引価格を確認することができますので、こちらを使ってみるのもおすすめですよ。
実際に不動産売却を一括見積もりする流れ
(引用元:イエウール)
不動産一括査定依頼サイトを利用する場合、基本的には次の手順で行います。
- 物件の住所(都道府県・市区町村)を入力
- 物件の種別(マンション・一戸建て・店舗等)を入力
- 物件の詳細情報(間取り・築年数等)を入力
- 査定方法(机上査定または訪問査定)を入力
不動産一括査定依頼サイトでは「◯◯秒で査定できる」と記載されていることが多いですが、基本的には正確な査定結果がすぐに分かるわけではなく、あくまで情報の入力がそれだけの時間でできるということです。
また、一括査定依頼を申し込む前に会員登録が必要なサービスも少なくありません。口座番号やクレジットカード情報など、サービスの提供に不要な個人情報の入力を求められる際は詐欺サイトの可能性があるため注意が必要です。
不動産売却を行う前に不要なトラブルに巻き込まれることがないように、信頼できる査定サービスであることが確認できてから情報の入力を行うようにしましょう。
必要書類
不動産一括査定依頼サイトの中には条件のみでおおよその査定額を提示してくれるところも多いですが、正確な査定額を知るためには次のような書類を提出する必要が出てくることもあります。
- 登記簿謄本
- 登記済権利証・登記識別情報
- 身分証明証
- 住民票
- 印鑑証明書
場合によっては、以上の書類だけでなく図面や測量図などが必要になることも。正確な査定額を知りたい方は、できるだけ多くの資料を用意しておきましょう。
所有している不動産を売却するオーナーが増えている
(引用元:国土交通省|不動産価格指数)
近年では、不動産を売却するオーナーが増加傾向にあります。その原因の一つが、都市部の不動産価格の上昇です。国土交通省が発表した最新の「不動産価格指数」によると、現在の不動産価格指数は次のとおり全国的に右肩上がりの傾向にあります。
住宅総合 (先月比) |
住宅地 (先月比) |
戸建住宅 (先月比) |
マンション (先月比) |
|
北海道地方 | 154.2(0.9) | 127.0(-0.4) | 144.5(6.1) | 243.8(0.7) |
東北地方 | 133.3(2.5) | 122.8(3.3) | 122.3(5.4) | 239.6(1.9) |
関東地方 | 135.6(1.3) | 113.2(3.1) | 116.8(0.9) | 177.6(2.9) |
北陸地方 | 122.4(-6.4) | 117.5(4.3) | 119.2(-13.3) | *150.4(-39.6) |
中部地方 | 110.1(-0.3) | 95.2(2.4) | 104.7(-2.5) | 176.9(-0.1) |
近畿地方 | 134.6(1.6) | 109.3(1.9) | 119.7(2.6) | 189.7(1.6) |
中国地方 | 115.9(1.1) | 101.9(-1.7) | 111.2(3.6) | *191.2(4.4) |
四国地方 | 109.0(1.5) | 99.7(4.8) | 104.6(2.1) | *183.2(-2.3) |
九州・沖縄地方 | 133.2(0.5) | 113.1(1.2) | 115.5(2.0) | 224.6(1.1) |
※「*」が付されている指標はサンプル数が少ないため参考値
この統計では、価格指数が総合的に前月比で増加していることが分かります。実際は2013年あたりからマンション価格が急上昇しているのを中心に、住宅地や戸建住宅も含めて右肩上がりの傾向にあります。
くわえて日本の経済状況や、リモートワークの普及も不動産の売買状況に拍車を掛けているものと考えられます。コロナ禍の影響による金策のための不動産売却も、50代以上を中心に増加しているようです。
不動産見積もり前に知っておくべき注意点
(引用元:サテイエ)
ここまではおすすめできる不動産一括査定依頼サイトを一気に紹介してきましたが、これらのサイトを利用する際に、利用者側にも一定の知識やスキルが必要です。
そこで次は、不動産一括査定依頼サイトで不動産売却の見積もりを行う前に知っておくべき以下の注意点について解説していきます。
- 住宅ローンを組んでいる場合は残高を確認する
- あまりにも高い金額の業者は怪しい
- 1社だけの見積もりで決めずに相見積もりで査定額を比較する
住宅ローンを組んでいる場合は残高を確認する
売却を予定している不動産で住宅ローンを組んでいる場合、必ず残高を確認しましょう。基本的に不動産を売却する場合は「抵当権」が抹消されていなければならず、そのためには住宅ローンが完済されている必要があります。
すでに完済している場合は売却に支障はありませんが、残債がある場合は先に完済することをおすすめします。手持ちのお金で完済できない場合には、次の方法で完済してください。
- 住み替えローンで残債を引き継ぐ
- 任意売却を利用する
住み替えローンで残債を引き継ぐ
現在の物件を売却しても住宅ローンの完済に至らない場合、残っている残債を新居の購入費にプラスできる「住み替えローン」を利用するという方法があります。
住み替えローンは、例えば次のように住宅ローンの残債を新居に引き継ぐことが可能です。
- 旧住宅:2,000万円で売却、完済には500万円が不足
- 新住宅:5,000万円の新規住宅ローンに担保割れした500万円をプラスする
この仕組みを使えば現金の負担なく新居に移ることができますが、次のようなデメリットもあります。
- 単純に住宅ローンを組むよりも金利が高くなる
- 審査に通らないことも多い
住み替えローンでは、新しい物件と古い物件の残債をプラスした金額を借り入れることになるため、金利が高くなり負担が増えますし、審査の面でも通常の住宅ローンより通りにくくなっているようです。
任意売却を利用する
住み替えローンが利用できない場合、最終手段として任意売却を行うことができます。
任意売却とは債権者に了承を得たうえで市場に物件を売却し、抵当権を消滅させる方法です。強制的に施行される競売と比べて売り主の意向が反映されやすいというメリットがあります。
ただし任意売却は住宅ローンの売却によって完済が見込める場合のみ使える手段であり、返済能力がない場合は競売に掛けられてしまいます。競売でも同様に抵当権が抹消されますが、売り主の希望が売却額に反映されないためできれば避けたい方法です。
あまりにも高い金額の業者は怪しい
簡単査定を行った際に「一番査定額が高い」不動産会社に飛びつくのは危険です。
例えば5社にまとめて見積もり依頼を行い次のような査定額が出たとしましょう。
- A社:5,000万円
- B社:5,200万円
- C社:4,800万円
- D社:6,500万円
- E社:5,000万円
この例の場合、売却額の相場は約「5,000万円」であることが分かりますが、D社だけ相場より1,000万円以上も高い査定額となっています。
査定額が法外に高い不動産会社は、高く買うことではなく契約させることが目的であり、後から安い金額を提示して強引に納得させるような手口が使われる事例があります。そうと知らずに契約をしてしまい、後から不動産会社を変えることもできないため泣き寝入りしてしまった、という事例もあります。
このような不動産売却詐欺に引っかからないために、たとえ査定額が高くても確実に信頼できる不動産会社であることを確認してから契約するべきです。
1社だけの見積もりで決めずに相見積もりで査定額を比較する
初めて不動産売却を行う際は、1社の見積もりだけでなく必ず相見積もりを行いましょう。相見積もりを行うことで物件の相場が分かり、査定額が高いだけの詐欺を避けることができるからです。
訪問査定を利用する場合も、相見積もりを行ってから3社程度に絞って見積もりを依頼するようにしてください。
なるべく高い金額で査定してもらうためのポイント
(引用元:サテイエ)
可能な限り高く不動産売却を行いたいと売り主が考えるのは当然のことですが、売却時に重要な「物件に関するポイント」と「査定時のポイント」を、それぞれ分けて考える必要があります。
物件に関するポイント
不動産売却の大前提として、物件の状態が良いほど査定額は高くなり、売却金額も高くなります。
例えばマンションの場合は「高層階の部屋であること」や「日当たりが良いこと」「角部屋であること」などの条件を満たす部屋は査定額が高くなるようです。そのため、どれだけ間取りが良くても、日当たりが悪い部屋は査定額が他の部屋よりも低くなったりすることもあります。
加えて、物件の「立地」も重要です。駅から近いという要素が査定額が高くなる条件として認識している人は多いですが、駅に近すぎて騒音が気になる物件であるためその土地の相場よりも安くなったり、逆に駅から遠くても生活しやすい土地であったため査定額が高くなったという事例があります。
ただし、これらの「物件」の要素は居住してからは変えられないため、将来的に売却する可能性があるなら「できるだけ物件を良い状態に保つ」ことが非常に重要と言えるでしょう。
査定時のポイント
一括査定依頼を行う際は、まず相場を理解することが重要です。売却を考えている物件において適正と言えるおおよその売却価格を把握することで、明らかに高すぎる査定額を提示した不動産会社に飛びついてしまうことを避けられます。
査定を申し込む前にも、ウェブ上で予測額を即時確認できるサービスを活用しましょう。初回から訪問査定を考えている場合でも、信頼性が高く、且つ高く査定してくれる不動産会社の候補を絞り込むために、無料で利用できる一括査定依頼を利用することをおすすめします。
不動産売却にまつわるFAQ
不動産売却にまつわる疑問点を解説します。
不動産の査定はどのくらい時間がかかる?
不動産の査定には、机上査定と訪問査定があります。机上査定であれば、30分から1時間程度で完了しますが、訪問査定は担当者が実際に不動産の状態などを確認するのに、数十分はかかります。その後、役所・法務局にて法規制やインフラ状況を確認する必要があります。
訪問査定の場合は、査定額を出すまで数日はかかるとみておきましょう。
不動産の売却価格は途中変更できる?
売却価格の変更は可能です。問い合わせの件数や見学者の人数、近隣にある他物件の価格などに合わせて、常に不動産の売却価格は変更していきます。
不動産会社の担当者と相談しながら、売却価格を決定しましょう。
不動産が売却できるまでにかかる期間は?
不動産を査定してもらい査定額に納得して契約を結んでから、実際に売りに出されるまでは1週間程度かかります。物件情報サイトなどに掲載されてから、営業がスタートしますが、1か月から3か月程度で売却できる場合もありますが、物件によって販売期間は大幅に異なります。
不動産売却よりも賃貸に出す方がおすすめって本当?
長期間の出張や転勤で家を空け、いずれまた戻ってくる場合には賃貸に出すのがおすすめですが、その土地に戻ってくる予定がないのであれば一般的には売却がおすすめです。
賃貸に出す場合には入居者が決まらないといった空室リスクのほか、家賃滞納や物件修繕に多額の資金を必要とする場合があるなど様々なリスクが存在します。
遠方へ引っ越しをするのであればわざわざ物件を管理するのもかなりの手間となるため、一旦賃貸にしたもののその後売却を選ぶ方も多いです。
不動産を売却するためにはカギを預ける必要がある?
まだ入居している状態の物件を売る場合には仲介を依頼する不動産屋にカギを預ける必要はありません。ただし、購入希望者が内見をしたいとなった場合には、必ず在宅し立ち合いをする必要があります。
すでに空室となっている場合には不動産屋にカギを預けてしまえば、内見の立ち合いなどはすべて不動産屋で対応してくれます。
現在の居住状況に合わせてカギを預けるか預けないかを検討してください。
不動産売却前にリフォームをした方がいい?
不動産売却を考えている人の中には建物が古くリフォームしなければならないのではないかと考えている人も多いですが、基本的には屋根や土台など住宅の性能に直接影響する箇所以外はリフォームの必要はありません。
購入した人が自分の好みに合わせてリフォームを行うことが多いため、むしろリフォームはしない方がいいと言えます。
ただし、相当の築年数が経過しており人が住むことが困難な建物が敷地内になるなどの場合には、「解体更地渡し」など売買契約成立後、引き渡しまでに建物を解体するという契約内容にすることも検討してください。
不動産売却にかかる費用は?
不動産売却にかかる費用としては次の つが挙げられます。
- 仲介手数料
- 契約書の印紙代
- 引っ越し代
- 譲渡所得税
不動産の売却については不動産業者に依頼することが多いため、基本的には仲介手数料や契約書の印紙代は必ずかかります。また、物件を売買する際に住宅ローンが残っている物件であれば抵当権の抹消等の登記費用も必要です。
また、売却した物件に住んでいた場合には引っ越し代がかかるほか、売却金額に応じて譲渡所得税が加算される点にも気を付けましょう。
不動産を売却するときにまずやることは?
不動産を売却したい場合には、まず近隣の物件相場を確認しましょう。相場感が分かったら複数の不動産業者に相見積もりを依頼します。
その中で近隣の売買相場に近い見積もりを出してくれたり、対応から信頼できると感じた不動産業者と媒介契約を結んで買い手を探してもらうことになります。
もしも購入希望者が現れて内見を希望した場合に備えて、あらかじめ簡単に物件の中を清掃しておくのもおすすめです。
まとめ
不動産売却を行う際は不動産一括査定依頼サイトを上手に活用することで、売却までにかかる手間や時間のロスを減らし、物件をより高く売却することが可能です。
今回紹介した7つのおすすめサービスも提携数や査定数の上限に差があるため、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで適切なサイトを選びましょう。
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