AI対策(LLMO,AIO,GEO)、SEO対策。2027年はどちらを行うべきか
「2027年のWeb集客は、AI対策とSEO対策のどちらに力を入れるべきか」。来期の予算を組む時期になると、この問いが社内で持ち上がります。先に答えを述べると、二者択一ではありません。SEO対策を土台として続けながら、AI対策(LLMO・AIO・GEO)を上乗せするのが2027年の基本方針です。決めるべきなのは「どちらをやるか」ではなく、「どんな配分で、どの順番で進めるか」です。
本記事では、Googleの公式見解と2026年に公表された調査データを手がかりに、片方に絞った場合のリスク、事業タイプ別の優先順位、判断フロー、予算配分の目安、2027年の四半期計画を順に整理します。
目次

先に結論:2027年は「両方」。ただし配分は事業で変わる
- SEO対策はやめません。AIの回答は検索結果を材料に組み立てられており、Googleも「生成AI検索への最適化はSEOである」と公式ガイドに明記しています。
- AI対策は追加で行います。ChatGPTなどGoogle以外のAIでの言及、サイト外での評判づくり、AI上の露出の計測は、従来のSEOの作業範囲に含まれていません。
- 配分は事業タイプで決めます。高単価のBtoBや比較検討型の商材はAI対策の比重を高め、来店型や立ち上げ期のサイトはSEOと基本情報の整備を先に固めます。
- 目安は「SEO 7:AI対策
3」が起点です。SEOの土台ができている会社は5:5へ、指名で選ばれる必要が強い会社は3:7まで寄せます(比率は本記事が提案する目安で、統計値ではありません)。 - 2027年は測れる年になります。Search
Consoleで生成AI機能での表示回数を確認できるようになり、AI対策の効果を数字で追いやすくなりました。
AI対策(LLMO・AIO・GEO)とSEO対策は何が違うのか
違いは、成果が現れる場所です。SEO対策は検索結果ページでの順位とクリックを増やす活動、AI対策はAIが生成する回答のなかで自社が取り上げられる機会を増やす活動です。

LLMO・AIO・GEOは呼び名の違い
AI対策には複数の呼び名があります。LLMOは言語モデル(LLM)への最適化、AIOはAI全般への最適化やGoogleの「AIによる概要」への対応、GEOは生成エンジン(Generative
Engine)への最適化を指します。言葉の出どころが異なるだけで、めざすところはほぼ同じです。本記事では3つをまとめて「AI対策」と呼びます。発注や社内説明の場面では、用語の定義に時間を使うより、「どのAIで」「何を増やすのか」を具体的に決めるほうが話が早く進みます。
6つの軸で比べる
| 比較軸 | SEO対策 | AI対策(LLMO・AIO・GEO) |
|---|---|---|
| 成果が出る場所 | 検索結果ページ | AIの回答文と参照元リンク |
| 追う数字 | 順位、クリック数、自然検索流入 | 言及率、引用数、AI機能での表示回数 |
| 評価の対象 | 主に自社サイトのページ | 自社サイトに加え、第三者サイトでの語られ方 |
| 主戦場 | Google、Bing | GoogleのAI機能、ChatGPT、Gemini、Perplexityなど |
| 結果の安定性 | 同じ検索語なら結果はほぼ一定 | 同じ質問でも回答がその都度変わる |
| 担当部署 | Web担当、コンテンツ担当 | Web担当に加え、広報・PRとの連携が必要 |
Googleの公式見解は「生成AI検索への最適化もSEO」
Googleは2026年7月に更新した公式ガイドで、Google検索の立場から見れば、生成AI検索への最適化は検索体験への最適化であり、したがってSEOである、と述べています。AI機能は検索のランキングシステムの上で動いているため、SEOのベストプラクティスは引き続き有効だという説明です。Google検索部門のダニー・サリバン氏も2025年8月の講演で、「良いSEOは良いGEOだ」と語っています。
同じガイドは、不要なものも具体的に挙げています。llms.txtのような専用ファイルや特別なマークアップをGoogle検索は使っていないこと。AI向けに文章を細切れにしたり、AI専用の書き方に直したりする必要はないこと。構造化データも生成AI検索に必須ではないことです。
ただし、これは「Google検索のAI機能」に限った話です。ChatGPTやPerplexityなど他社のAIは別の仕組みで情報源を選びます。サイトの外での評判づくりや、AI上の露出を測る体制も、Googleのガイドは扱っていません。「SEOと同じだからAI対策は不要」と片づけられない理由はここにあります。
データで見る、検索とAIの現在地
判断の前提として、2026年に公表された数字を5つ押さえます。要約すると、検索は縮んでおらず、AIは急拡大しており、両者の中身は重なりながらもずれ始めています。

1. Google検索は縮小していない
Googleは2026年5月のGoogle
I/Oで、検索のクエリ数が直近の四半期に過去最高を記録したと発表しました。あわせて、AIモードの月間利用者が提供開始から1年で10億人を超えたことも明らかにしています。「AIによる概要」の月間利用者は25億人超です。AIの利用は検索の外だけでなく、検索の中でも増えています。SEOの対象である検索という場所そのものが、AI対策の対象にもなっているわけです。
2.
サイトへの送客は、いまも検索が圧倒的
Ahrefsが2026年2月に公表した分析では、ChatGPTの利用のうち検索に相当するものは、量にしてGoogle検索の約12%と推計されています。一方、Webサイトへ送り込む訪問数で比べると、GoogleはChatGPTの190倍でした(Ahrefsの解析ツールを導入する約7万6,000サイトのデータ)。AIは質問の場として存在感を増していますが、サイトに人を連れてくる力はまだ検索が桁違いに大きい、というのが現状です。
3.
検索上位ならAIに引用される、とは限らなくなった
Ahrefsの別の調査(2026年3月)は、AI対策を独立して考えるべき理由を示しています。「AIによる概要」に引用されたURLのうち、同じキーワードで検索上位10位に入っていたのは約38%。2025年7月の調査では約76%だったので、8か月ほどで半減しました。約3割は100位圏外のページです(86万3,000キーワード、約400万URLを分析)。Ahrefsは、AIが質問を複数の検索語に分解して情報を集める「クエリファンアウト」への依存が強まったことを要因に挙げています。順位を上げれば自動的にAIにも出る、という前提は崩れつつあります。
引用元の顔ぶれも変わっています。同じ調査では、検索結果に出ていないのに引用されたURLの18.2%がYouTubeで、引用全体でも5.6%を占めました。文章だけでなく動画も情報源として使われており、「検索順位を上げる」以外の露出経路が広がっていることが分かります。
4.
AI経由の訪問者は数が少なく、質が高い
Semrushが2025年7月に公表した調査では、ChatGPTなどGoogle以外のAI検索から来た訪問者は、コンバージョン率で見て従来の自然検索の訪問者の4.4倍の価値があるとされました。AIとの対話で比較検討を済ませてから来訪するためです。同調査は、デジタルマーケティング関連の領域では2028年初めにAI検索経由の訪問者が従来の検索を上回る可能性があるとも予測しています。ただしこれは過去の伸びを延長した試算で、対象領域も限られます。日本の一般的なサイトにそのまま当てはめられる数字ではない点に注意してください。
5.
国内企業の大半はすでに動いている
PRIZMAがマーケティング担当者1,032名に行った調査(2026年7月)では、LLMO対策を「すでに実施している」が22.9%、「外部企業の活用を導入検討」が37.3%、「情報収集している段階」が27.2%でした。「関心なし」は半年前の49.6%から3.4%へ急減しています。ナイルの調査(2026年3月、デジタルマーケティング従事者420名)でも、AI検索対策を実施中が41.6%、検討中が42.8%で、合わせて84.4%が対応に動いていました。
注目したいのは原資です。ナイルの調査では、AI検索対策の費用を「既存広告費の削減・転用」でまかなう企業が37.8%、「SEO予算からの振り替え」が26.2%でした。新しい予算を確保するのではなく、既存予算の組み替えで対応している企業が6割を超えます。「どちらを行うべきか」という問いは、多くの会社にとって予算配分の問題になっています。
片方に絞ると何が起きるか
どちらか一方に予算を集中させると、残した側の強みをそのまま失います。それぞれの場合を具体的に見ていきます。
「SEO対策だけ」を続けた場合
順位は維持できても、成果が目減りしていくおそれがあります。理由は3つです。
- クリックが減る。検索結果の最上部にAIの回答が出る検索語では、上位にいてもクリックされにくくなります。Ahrefsの調査では、日本でも検索1位のクリック率が約38%低下していました。
- 引用を取りこぼす。「AIによる概要」が引用するURLの6割超は、上位10位の外から選ばれています。順位レポートだけを見ていると、派生する質問に答えるページが足りないことに気づけません。
- Google以外のAIで姿が見えない。ChatGPTやPerplexityで自社がどう紹介されているかは、順位レポートには現れません。
ウィルゲートの調査(2025年12月、マーケティング・広報関係者や経営者など109名)では、検索で上位表示されていてもAIの回答に含まれない状況に「リスクを感じる」と答えた人が90.8%にのぼりました。現場の担当者は、順位とAI上の露出が別物であることをすでに実感しています。
「AI対策だけ」に振り切った場合
こちらは、足元の流入を失うリスクがあります。
- 最大の集客経路を手放す。サイトへの送客では、GoogleがChatGPTの190倍です。検索からの流入が細れば、AI経由の流入が伸びても穴埋めにはなりません。
- AI対策そのものの土台が崩れる。検索と連動するAIは、検索エンジンが見つけたページを材料にします。インデックスされていないサイトや、検索で評価されていないサイトは、回答の候補に入りにくくなります。
- 投資対効果を説明しきれない。AI上の露出は回答がその都度変わり、クリックを伴わないことも多いため、単独では成果を示しにくい領域です。ナイルの調査でも、AI検索対策の課題は「効果測定・評価方法がわからない」が30.9%で最多でした。
代用ではなく、重ねる
SEO対策は、すでにある需要を確実に受け止める土台です。AI対策は、比較検討の入口で名前を挙げてもらうための上積みです。役割が異なるため、一方をもう一方で代用することはできません。
SEO予算を削ってAI対策に回してよいか
ナイルの調査では、AI検索対策の原資を「SEO予算からの振り替え」とする企業が26.2%ありました。振り替えそのものは合理的ですが、削る場所を間違えると両方の成果が落ちます。削ってよいのは、検索意図の似た記事の量産や、流入だけを目的にした用語解説の追加など、AIの回答に置き換えられやすい作業です。反対に、技術面の保守、主力ページの更新、独自コンテンツの制作は削れません。これらはAI対策の土台でもあるためです。SEO予算の中身を「AIに代替される作業」と「両方に効く作業」に仕分けし、前者だけをAI対策に振り向けるのが安全な進め方です。
共通する施策と、それぞれに固有の施策
やるべきことを分解すると、大半は共通しています。別々のプロジェクトを立てるより、共通部分を一度しっかり作り、差分だけを追加するほうが、費用も工数も抑えられます。

共通する施策(一度やれば両方に効く)
- 独自性のあるコンテンツ:調査データ、事例、実体験にもとづく見解など、ほかにない情報を出す
- 技術的な健全性:クロールとインデックス、表示速度、モバイル対応、重複ページの解消
- 分かりやすい構成:見出しで問いを立て、直後に答えを書く。比較は表で整理する
- 信頼性の明示:著者、運営者、更新日、出典を示す
- 事業情報の正確さ:Googleビジネスプロフィールや商品データを最新に保つ
Googleの公式ガイドが生成AI検索向けに挙げる推奨事項も、価値のある独自コンテンツ、明快な技術構造、店舗・EC情報の整備、計測と、ほぼこの範囲に収まります。
SEO対策に固有の施策
- キーワード調査と、検索意図に合わせたページ設計
- タイトルやディスクリプションの調整によるクリック率の改善
- 内部リンクとサイト構造の設計
- 被リンクの獲得
- 順位と流入のモニタリング
AI対策に固有の施策
- AI上の露出の計測:想定質問を定期的に投げ、言及率と引用元を記録する
- 派生質問への対応:一つのテーマから枝分かれする問いを洗い出し、答えを用意する
- サイト外での言及づくり:業界メディア、比較サイト、レビュー、PRを通じて第三者に語ってもらう
- 表記と事実情報の統一:社名、サービス名、料金、実績を媒体間でそろえる
- Google以外のAIへの対応:ChatGPTやPerplexityなどのクローラーの扱いを決め、Bingにも登録する
- 誤情報の修正:AIが自社について誤った説明をしていないかを点検し、元になった情報を正す
固有部分を並べると分かるとおり、AI対策は「SEOの言い換え」ではありません。とくにサイト外の評判づくりと計測は、従来のSEO担当の業務に含まれていないことが多く、広報やPRとの連携が必要になります。
事業タイプ別:2027年の優先順位
どちらに比重を置くかは、顧客が買うものをどう決めるかで変わります。5つのタイプに分けて整理します。

| 事業タイプ | SEO対策 | AI対策 | 2027年の進め方 |
|---|---|---|---|
| BtoB・高単価サービス | 高 | 最優先 | 候補を絞る段階でAIに相談される。候補リストに入ることを重視する |
| EC・D2C | 最優先 | 高 | 商品データとレビューを整備し、買い物を支援するAI機能に備える |
| 店舗・地域ビジネス | 最優先 | 中 | ビジネスプロフィールと口コミが土台。AIによる予約・電話の代行に備える |
| メディア・情報サイト | 高 | 最優先 | 情報収集型の検索はAIの影響が最大。一次情報と指名流入へ軸足を移す |
| 新規サイト・立ち上げ期 | 最優先 | 低〜中 | まず検索で見つかる状態をつくる。費用のかからないAI対策だけ先行させる |
BtoB・高単価サービス
検討期間が長く、候補を絞る段階でAIに「この分野のサービスを比較して」と尋ねる行動が広がっています。候補リストに入らなければ、検索で上位にいても商談の機会が生まれません。SEOで用語解説や課題解決の記事を維持しつつ、比較・選び方・料金といった派生質問への回答と、第三者メディアでの言及づくりに重点を置きます。
EC・D2C
商品名やカテゴリ名での検索は購入に直結するため、SEOの優先度は引き続き最上位です。AI対策では、商品データの正確さとレビューの充実が効きます。Googleの公式ガイドも、Merchant
Centerの情報整備を生成AI検索での露出につながる施策として挙げています。
店舗・地域ビジネス
「地域名+業種」の検索と地図での露出が集客の中心です。Googleは2026年のI/Oで、AIが利用者に代わって店舗の予約や電話を行う機能を発表しました(米国から提供)。営業時間、メニュー、価格、予約方法といった基本情報を、AIが読み取れる形で公開しておくことが、そのまま備えになります。
メディア・情報サイト
「〜とは」「〜の方法」といった情報収集型の検索は、AIの回答だけで用が済みやすい領域です。このタイプでは、AI対策は事業モデルの見直しに近い課題になります。AIが要約しきれない一次情報(独自調査、取材、データ)への投資と、指名で訪れてもらう読者基盤づくりが優先です。
新規サイト・立ち上げ期
実績も被リンクもない段階では、AIに引用される材料そのものが不足しています。まずは検索で見つかる状態をつくり、並行して社名・サービス名の表記統一や会社情報の整備など、費用のかからないAI対策を済ませておきます。
5つの質問で決める判断フロー
自社がどちらに比重を置くべきかは、次の5つの質問で整理できます。上から順に答えてください。

- 主要なページがインデックスされ、社名やサービス名の検索で1位に表示されますか。「いいえ」なら、SEOの土台づくりが最優先です。AI対策は表記統一など最小限にとどめます。
- 売上につながる検索語で、すでに上位を取れていますか。「いいえ」なら、配分はSEO寄り(7:3)です。上位を取れていないテーマのコンテンツ強化を先に進めます。
- 顧客は購入前に比較検討をしますか(高単価、BtoB、契約型など)。「はい」なら、AI対策の比重を5:5以上に上げます。
- AIに自社の分野を尋ねたとき、競合の名前だけが挙がりますか。「はい」なら、AI対策を急ぐ理由があります。サイト外での言及づくりに着手します。
- 自然検索の表示回数は保たれているのに、クリックだけが減っていますか。「はい」なら、需要がAIの回答に吸収されています。順位に加えて、AI上の露出を指標に入れます。
質問1と2が「いいえ」の会社はSEOを先に、質問3から5に「はい」が多い会社はAI対策の比重を高める、というのが基本の読み方です。両方に当てはまる場合は、SEOの穴をふさぎながら、AI対策は計測だけ先に始めるのが現実的です。計測は費用が小さく、早く始めるほど比較できる基準値がたまります。
判定の例(架空の3社)
- 設立2年目のBtoB
SaaS:社名では1位に出るが、売上につながる検索語ではまだ上位に入れていない(質問2が「いいえ」)。一方で比較検討型の商材でもある(質問3が「はい」)。この場合は7:3でSEOを固めながら、AI上の露出の計測と、比較記事への掲載依頼だけを先に進めます。 - 検索流入が安定している専門商社:主要な検索語で上位を保っているものの、クリックが少しずつ減り(質問5が「はい」)、AIに尋ねると競合ばかりが挙がる(質問4が「はい」)。この場合は5:5から3:7へ寄せ、独自調査の公開と業界メディアでの露出に投資します。
- 地域の工務店:社名で検索しても、口コミサイトやポータルが上に出る(質問1が「いいえ」)。この場合はビジネスプロフィールと自社サイトの基本整備が先です。AI対策は、社名・所在地・施工実績の表記をそろえるところまでで十分です。
2027年の予算と工数の配分モデル
配分の目安を3つのパターンで示します。比率は本記事が提案する目安であり、統計にもとづく数値ではありません。自社の状況に合わせて調整してください。

| パターン | SEO:AI対策 | 向いている会社 | 重点施策 |
|---|---|---|---|
| 土台構築型 | 7:3 | SEOの基盤が弱い、新規サイト、店舗型 | 技術面の整備、主要テーマの記事、AI露出の計測開始 |
| 並走型 | 5:5 | SEOで一定の成果があり、流入が頭打ち | 派生質問への対応、一次情報、既存記事の改修 |
| AI先行型 | 3:7 | 高単価BtoB、比較検討型、指名で選ばれたい | 第三者での言及獲得、独自調査とPR、言及率の改善 |
月40時間を配分する場合の例
配分は金額だけでなく、社内の工数にも当てはめられます。Web担当の作業時間が月40時間ある会社を例にすると、次のようになります。
| パターン | SEOに使う時間 | AI対策に使う時間 |
|---|---|---|
| 土台構築型(7:3) | 28時間:技術面の修正、主要テーマの記事作成 | 12時間:想定質問の計測、表記の統一 |
| 並走型(5:5) | 20時間:既存記事の改修、内部リンクの整理 | 20時間:派生質問への回答記事、一次情報の作成 |
| AI先行型(3:7) | 12時間:順位と技術面の維持管理 | 28時間:独自調査、PR、外部メディア対応、言及率の改善 |
独自コンテンツづくりのような共通部分は、便宜上どちらかに振り分けていますが、実際には両方の成果に効きます。
費用感の参考
AI対策を外注する場合の相場も確認しておきます。PRIZMAがLLMO対策を外注している企業の担当者418名に行った調査(2026年7月)では、月額30万〜50万円の範囲が過半数を占め、最多は「月額40万円程度」(18.4%)でした。依頼の形は、施策を絞った「特化型」が65.8%、「フルサポート型」が34.2%です。ウィルゲートの調査では、LLMO関連に年間100万円以上を投じている企業が79.8%でした。どちらの調査も、一定規模以上の企業や関心の高い層が対象です。相場の上側に近い数字として読むのが妥当でしょう。
配分を決めるときの3つの原則
- 共通部分に先に投資する。独自コンテンツと技術面の整備はどちらにも効くため、比率を議論する前に確保します。
- 計測の予算を必ず残す。Search
Consoleの生成AIレポート(無料)と、想定質問による定点観測を組み合わせます。 - 四半期ごとに見直す。AIの仕様は数か月で変わります。年初に決めた比率を固定せず、数字を見て動かします。
KPIは「SEO」「AI対策」「事業成果」の3段で持つ
配分を見直すには、両方を同じ表で見られる指標が必要です。SEOの数字とAI対策の数字を別々の報告書にすると、どちらに予算を寄せるべきかを判断できなくなります。
| 段 | 指標 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| SEO | 主要検索語の順位、自然検索のクリック数と表示回数 | Search Consoleの検索パフォーマンス |
| AI対策 | AI機能での表示回数、想定質問での言及率、引用元に占める自社ページ | 生成AIパフォーマンスレポート、定点観測の記録 |
| 事業成果 | 指名検索数、問い合わせ数、認知経路にAIを挙げた割合、商談化率 | アクセス解析、問い合わせフォーム、営業の記録 |
見るべきは各段の数字そのものより、段と段の関係です。たとえば自然検索のクリックが減っても、AI機能での表示回数と指名検索数が伸びていれば、需要はAIの回答を経由して自社に届いています。逆に、言及率が上がっても問い合わせが増えないなら、AIに紹介される文脈が自社の強みとずれている可能性があります。3段を並べてはじめて、配分を動かす根拠が得られます。
2027年の実行計画:四半期ごとの進め方
1年を4つに区切り、計測、共通部分、AI対策の固有施策、検証の順に進めます。
1〜3月:計測の基盤をつくる
- Search
Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで、AI機能での表示回数と対象ページを確認する - 想定質問を数十問用意し、主要なAIでの言及率と引用元を記録する
- インデックス、表示速度、重複などSEOの技術面を点検する
- 配分パターンを仮決めし、KPIを設定する
4〜6月:共通部分を強化する
- 売上に近いテーマから、既存ページに結論・比較表・FAQを追加する
- 派生質問を洗い出し、答えのないテーマの記事を作る
- 著者情報、運営者情報、更新日、出典の表示をそろえる
7〜9月:AI対策の固有施策へ広げる
- 独自調査や事例データを公開し、PRで外部メディアに届ける
- 比較サイト、レビュー、業界メディアの掲載情報を点検して更新する
- 社名、サービス名、料金などの表記を全媒体で統一する
10〜12月:効果を検証し、翌年の配分を決める
- 言及率、AI機能での表示回数、指名検索数、問い合わせの認知経路を年初と比較する
- 成果が出た施策に予算を寄せ、配分比率を見直す
- 結果を翌年の計画に反映する
四半期ごとの区切りは目安です。重要なのは、計測を最初に置き、検証を最後に置く順番を崩さないことです。基準値がないまま施策を始めると、年末に成果を説明できず、翌年の予算が取りにくくなります。担当者が一人しかいない会社では、各四半期の項目を一つずつに絞っても構いません。項目を網羅するより、続けられる計画にするほうが成果につながります。
2027年に向けて押さえておきたい3つの変化
配分を考えるうえで前提になる変化が、2026年の後半に相次ぎました。
AI上の露出が公式に測れるようになった
Googleは2026年8月31日までに、Search
Consoleの生成AIパフォーマンスレポートを全世界のサイトに提供しました。「AIによる概要」とAIモードで自社サイトへのリンクが表示された回数を、ページ別・国別・デバイス別に確認できます。見られるのは表示回数で、クリック数や検索語は含まれません。それでも、AI対策の成果を説明できる公式の数字が手に入った意味は大きく、2027年は「測れないから後回し」という判断がしにくくなります。
AI機能への表示を止める選択肢ができた
同じ時期に、生成AI検索機能へ自社サイトを表示させない設定もSearch
Consoleに追加されました。Googleは、この設定を生成AI機能以外の検索結果のランキングには使わないと説明しています。ただしオフにすれば、AIによる概要やAIモードからの流入は得られません。ほとんどの事業会社にとっては表示させておくほうが得策ですが、コンテンツそのものが商品であるメディアなどでは検討の余地があります。
検索が「調べる」から「任せる」へ広がる
Googleは2026年のI/Oで、条件に合う情報を見張り続けるエージェントや、予約・電話の代行といった機能を発表しました。公式ガイドも、AIエージェントがサイトを操作する場面への備えを推奨事項に加えています。AIが人の代わりに比較し、問い合わせ、予約するようになれば、AIが正しく読み取れる情報を公開していることが、選ばれるための前提条件になります。
よくある質問(FAQ)
SEO対策はもう意味がない(オワコン)のですか?
いいえ。Googleの検索クエリ数は2026年に過去最高を記録しており、サイトへの送客でも検索が圧倒的です。変わったのは、順位だけを目標にする運用が通用しにくくなった点です。SEOを続けたうえで、AI上の露出を指標に加えるのが現実的な対応です。
LLMO・AIO・GEOのうち、どれに取り組めばよいですか?
3つは呼び名が違うだけで、施策の中身はほぼ共通です。どれか一つを選ぶ必要はありません。「GoogleのAI機能で表示を増やす」「ChatGPTで候補に挙がる」のように、対象のAIと目標を具体的に決めてください。
予算が限られている場合、どちらを優先すべきですか?
SEOの土台、つまり技術面の整備と主要テーマのコンテンツを先に固めてください。この部分はAI対策にもそのまま効きます。AI対策は、費用のかからない計測と表記統一から始めれば十分です。
AI対策の費用相場はどのくらいですか?
PRIZMAの調査(2026年7月)では、LLMO対策を外注している企業の過半数が月額30万〜50万円の範囲でした。施策を絞って依頼する「特化型」が約3分の2を占めます。計測とコンテンツ改修は自社で進め、PRや調査など一部だけを外注する方法もあります。
AI対策の効果はどう測ればよいですか?
3つを組み合わせます。Search
Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで表示回数を、想定質問の定点観測で言及率と引用元を、アクセス解析と問い合わせフォームでAI経由の流入と認知経路を確認します。
SEOとAI対策は、別々の会社に依頼すべきですか?
共通部分が大きいため、同じチームで一体的に進めるほうが効率的です。別々に発注すると、同じページに対して矛盾する改修指示が出ることがあります。分ける場合でも、コンテンツの方針とKPIは一本化してください。
llms.txtを置けばAI対策になりますか?
Googleは公式ガイドで、llms.txtのようなファイルや特別なマークアップをGoogle検索は使っていないと明記しています。設置を優先する理由は乏しく、その時間は独自コンテンツの充実に充てるほうが効果的です。
生成AI検索への表示はオフにすべきですか?
集客を目的とする事業会社のサイトでは、オフにする利点はほとんどありません。AIの回答内での露出と、そこからの流入を失うためです。コンテンツ自体が収益源で、AIによる要約が来訪を減らしている場合に限り、検討の対象になります。
まとめ:2027年は「SEOを土台に、AI対策を重ねる」
「AI対策とSEO対策のどちらを行うべきか」への答えは、両方です。ただし、同じ重さではありません。
- SEO対策は、検索という最大の集客経路を守る土台であり、やめる理由はない
- AI対策は、AIの回答という新しい入口で選ばれるための上積みであり、SEOだけでは届かない範囲がある
- 施策の多くは共通している。独自コンテンツと技術面の整備に先に投資する
- 配分は事業タイプと現状で決める。7:3を起点に、5:5、3:7へ動かす
- 最初に着手するのは計測。Search
Consoleの生成AIレポートと想定質問の定点観測は、すぐに始められる
2026年は、多くの企業がAI対策に関心を持ち、動き始めた年でした。2027年は、数字を見ながら配分を調整できるかどうかで差がつく年になります。
出典・参考資料
記事内のデータは2026年10月1日時点で確認したものです。
- Google Search Central「Google’s Guide to Optimizing for
Generative AI Features on Google
Search」(最終更新2026年7月10日) - Google「Google Search’s I/O 2026
updates」(2026年5月19日) - Google「New opportunities, control and insights for website
owners」(2026年6月3日、8月31日更新) - Search Console ヘルプ「Generative AI performance report
(Search)」 - Search Engine Land「Google’s Danny Sullivan: Good SEO is good
GEO」(2025年9月2日) - Ahrefs「ChatGPT Has 12% of Google’s Search Volume but Google
Sends 190x More Traffic to Websites」(2026年2月11日) - Ahrefs「Update: 38% of AI Overview Citations Pull From The Top
10」(2026年3月2日) - Ahrefs「AIによる概要のゼロクリック影響に関する調査」(2026年2月26日発表)
- Semrush「AI
Search & SEO Traffic Study」(2025年7月21日) - PRIZMA「マーケターのAI活用調査2026」(2026年7月16日発表)
- PRIZMA「LLMO対策の外注費用相場に関する調査」(2026年8月6日発表)
- ナイル「8割以上の企業がAI検索対策に動いている!LLMOへの投資状況と課題を調査」(2026年3月26日)
- ウィルゲート「AI検索時代の新戦略『LLMO』実態調査」(2026年3月5日発表)