指名検索とは?重要性と増やす方法7選|AI検索時代に“名前で選ばれる”会社になる
指名検索とは、会社名、サービス名、商品名といった固有の名前を含めて行われる検索のことです。「会計ソフト
おすすめ」が一般検索、「〇〇会計
料金」が指名検索にあたります。名前を入力する人は、すでにその会社を知っていて、もっと詳しく知りたい、あるいは申し込みたいと考えています。そのため指名検索は、成約にもっとも近い検索といわれます。
2026年に入り、指名検索の重みはさらに増しました。AIが検索結果の上部で答えをまとめ、比較や候補の洗い出しまで担うようになったことで、一般的なキーワードからサイトを訪れる人は減りやすくなっています。一方、名前で探してくれる人の流入は、この変化の影響を受けにくいことがデータで示されています。
本記事は、マーケティングの実務を担う方に向けて、指名検索の意味、重要な理由、検索数の調べ方、増やす方法7選、3か月の進め方、効果測定、注意点を順にまとめたものです。
目次

まず押さえたい5つのポイント
- 指名検索とは、社名・サービス名・商品名を含む検索のことです。検索する人はすでに自社を知っているため、成約に近い位置にいます。
- 米国での分析によると、Google検索の44%は名前を含む検索です。国内のBtoB調査でも、買い手の63.5%は候補を挙げ終えてから売り手に接触しています。
- AIによる概要は、名前を含む検索では13.1%、含まない検索では24.9%で表示されます。指名検索は、AI検索の影響を受けにくい流入源です。
- 検索数は、Search
Consoleのブランドクエリフィルタ、キーワードツール、Googleトレンドの3つで調べられます。 - 増やす方法は、名前の整備、コンテンツ、PR、SNSと動画、広告、オフラインの接点、口コミの7つです。「知る」「覚えている」「検索する理由がある」の3条件をそろえることが基本になります。
指名検索とは?意味と一般検索との違い
指名検索とは、特定の会社やサービスを名指しして行う検索です。英語ではBranded
Searchと呼ばれ、日本語では「ブランド検索」とも言います。GoogleはSearch
Consoleで「ブランドクエリ」という呼び方を使っています。対になるのが、名前を含まない「一般検索(非指名検索)」です。

一般検索との違い
| 比較項目 | 指名検索 | 一般検索 |
|---|---|---|
| 検索語の例 | 「〇〇会計」「〇〇会計 料金」 | 「会計ソフト おすすめ」「経費精算 効率化」 |
| 検索する人の状態 | 自社をすでに知っている | 課題や商品の種類は分かるが、会社は決めていない |
| 検索結果での競争 | 公式サイトが上位に出やすい | 多くの競合と比べられる |
| 成約までの距離 | 近い | 遠い。比較と検討がこれから始まる |
| 増やし方 | 検索の外で名前を知ってもらう | 検索結果での順位を上げる |
違いの本質は、検索する人が「まだ選んでいる途中」か「すでに選びかけている」かです。一般検索では、検索結果に並ぶ多くの会社と比べられます。指名検索では、最初から自社が目的地になっています。
もう一つの違いは、増やす場所です。一般検索の流入は、検索結果の中で順位を上げれば増えます。指名検索は、検索する前に名前を知ってもらう必要があるため、検索の外での活動が成果を決めます。
指名検索の3つのパターン
指名検索は、名前と一緒に入力される言葉によって、検索する人の状況が読み取れます。
- 名前のみ(例:「〇〇会計」):公式サイトに行きたい、どんな会社かを知りたい
- 名前+情報(例:「〇〇会計 料金」「〇〇会計 評判」「〇〇会計
導入事例」):検討の材料を集めている - 名前+行動(例:「〇〇会計 ログイン」「〇〇会計
問い合わせ」「〇〇
採用」):すでに顧客である、または行動を決めている
このうち「名前+情報」の検索には、検討中の見込み客が多く含まれます。どんな言葉が組み合わされているかを見れば、見込み客が何を不安に思い、何を確かめたいのかが分かります。
指名検索はどこから生まれるか
指名検索は、検索エンジンの中では生まれません。人は検索する前に、記事、広告、SNS、展示会、知人の話、AIの回答など、どこかで名前に触れています。その記憶が、必要になった瞬間に検索という行動として現れます。
つまり指名検索数は、検索対策の成果というより、会社のあらゆる活動が積み重なった結果です。広報、営業、カスタマーサポートの仕事も、指名検索数に影響します。
ナビゲーショナルクエリとの関係
検索意図の分類では、特定のサイトへ行くための検索を「ナビゲーショナルクエリ(案内型)」と呼びます。指名検索の多くはこれに当たりますが、同じものではありません。「〇〇会計
評判」のように、名前を含みながら情報を集める検索もあるためです。指名検索は「名前を含むかどうか」、ナビゲーショナルクエリは「目的が移動かどうか」で分ける、別の物差しだと理解してください。
指名検索が重要な5つの理由
指名検索が重要なのは、成約に近い人が集まり、しかも競合や検索結果の変化に左右されにくいからです。5つの理由を、データとあわせて説明します。

理由1:成約に近い人が集まる
名前で検索する人は、すでに自社を知り、関心を持っています。課題を調べ始めたばかりの人と比べて、資料請求や問い合わせ、購入に進む割合が高くなります。同じ100件の流入でも、一般検索からの100件と指名検索からの100件では、売上への貢献が大きく違います。
理由2:検索の4割以上は「名前を含む検索」
SparkToroとDatosが米国の検索およそ3億3,200万件を対象に行った分析(2023年1月〜2024年9月)では、Google検索の44%が名前を含む検索でした。検索意図で見ても、特定のサイトへ行くための検索が33%を占めています。
米国のデータですが、検索という行動のかなりの部分が「すでに知っている名前を入力する行為」であることが分かります。名前を知られていない会社は、この大きな需要の外にいることになります。
理由3:候補は、問い合わせの前に決まっている
HubSpot
Japanの調査(2026年6月、BtoB商材の購買に関わった1,573名)では、売り手に接触する買い手のうち63.5%が、複数の候補をリストアップした後に初めて接触していました。営業が会えた時点で、候補はすでに絞られています。
EXIDEAの調査(2025年7月、経費精算システムの選定に関わった200名)でも、商談前に知っていたブランドが意思決定に影響したと答えた人は78.5%でした。海外も同じ傾向で、6senseの2025年版レポート(約4,000名)は、最終的に選ばれた会社の95%が、検討初日の候補リストに入っていたと報告しています。
候補に入るには、検討が始まる前に名前を知られている必要があります。指名検索の数は、「候補に入れてくれている人がどれだけいるか」を映す数字です。
理由4:AIによる概要に流入を奪われにくい
Ahrefsが検索結果1億4,600万件を調べたレポート(2025年11月公開)では、AIによる概要が表示された割合は、名前を含まない検索で24.9%、名前を含む検索で13.1%でした。一般検索のほうが1.9倍、表示されやすいということです。
クリック率への影響にも差があります。Amsiveが70万のキーワードを対象にした分析(2025年4月)では、AIによる概要が表示されたとき、名前を含まないキーワードのクリック率は平均19.98%下がりました。名前を含むキーワードでは、逆に18.68%上がっています。
どちらも海外の数字で、Amsiveの分析は対象が10サイトにとどまります。とはいえ、指名検索がAI検索の影響を受けにくい流入源であることは読み取れます。
理由5:競合と広告費に左右されにくい
一般的なキーワードは、競合と順位を争い続ける必要があり、広告のクリック単価も上がりやすい領域です。自社名での検索は、公式サイトが1位に表示されやすく、他社と比べられる前に自社のページへ来てもらえます。指名検索で訪れる人が増えるほど、順位変動や広告費の高騰に振り回されにくい集客の土台ができます。
AI検索時代に、指名検索の価値が上がる理由
AIが候補を選ぶ時代には、「AIの回答に名前が出ること」と「名前で検索されること」が互いを強め合います。4つの面から整理します。
AIが候補を洗い出す。名前が出なければ検討に入れない
前述のHubSpot
Japanの調査では、生成AIやAI検索を使う買い手(1,155名)の50.3%が、候補となる商品・サービスの洗い出しにAIを使っていました。購買判断への影響が増えた情報源としても、生成AIやAI検索が41.6%で最多です。
AIに「おすすめを教えて」と尋ねた人が受け取るのは、数社の名前です。そこに入らなければ、比較の対象になりません。
AIに名前が出る会社は、ウェブ上で名前が語られている
Ahrefsが7万5,000のブランドを対象にした分析(2025年5月公開、2026年4月更新)では、AIによる概要でブランドが言及される回数ともっとも強く相関していたのは、「ウェブ上でのブランド名の言及数」(相関係数0.664)でした。ブランド名を含むリンクの文言が0.527、指名検索数が0.392で続き、被リンクの数は0.218にとどまります。

言及数が上位25%のブランドは、AIによる概要で平均169回言及されていました。次の25%は平均14回で、10倍以上の差があります。
これは相関を示す数字で、原因と結果を証明するものではありません。ただ、名前が多くの場所で語られ、名前で検索されている会社ほどAIの回答にも出やすい、という関係は確認できます。指名検索を増やす取り組みは、AI検索への対応とほぼ同じ方向を向いています。
指名検索が多いだけでは、AIに推薦されない
一方で、指名検索が多ければ自動的にAIに推薦されるわけでもありません。StockSunの調査(2026年4月、営業・マーケティング向けSaaS
31社、ChatGPT・Gemini・Perplexityで合計270回の試行)では、指名検索数が業界2位のサービスが、AIの推薦では6位でした。逆に、指名検索数17位のサービスがAIの推薦で3位に入っています。AIが引用したページの大半は、各社の公式サイトではなく第三者のメディアでした。
1社による限られた範囲の調査ですが、示していることは明確です。AIは知名度だけでなく、第三者がその会社をどう説明しているかを見ています。指名検索の数に加えて、「何の会社として語られているか」を整えることが必要です。
AIで知った人は、次に名前で検索する
AIの回答で名前を知った人が、その場でリンクを押すとは限りません。あとから名前を検索して、公式サイトを訪れる人も少なくありません。ナレッジホールディングスの調査(2026年7月、20〜50代311名)でも、商品購入時の調べ方は複数の手段を行き来する形が主流で、「検索→AI→SNS」の順に使う人が25.1%で最多でした。
AI経由の影響はアクセス解析で把握しにくい一方、指名検索の増加として現れます。指名検索数は、AI検索対策の成果を測る指標にもなります。
指名検索数の調べ方
指名検索数は、Search
Console、キーワードツール、Googleトレンドの3つで調べられます。目的によって使い分けます。

| 方法 | 分かること | 費用 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| Search Console | 自社サイトが指名検索で表示された回数、クリック数、一緒に検索された言葉 | 無料 | 自社の実績を毎月追う |
| キーワードツール(Googleキーワードプランナー、Ahrefsなど) | 名前ごとの月間検索数の推定値。競合の名前も調べられる | 無料〜有料 | 競合との規模の比較 |
| Googleトレンド | 検索の増減の推移(相対値)。複数の名前を重ねて比較できる | 無料 | 施策前後の変化と季節性の確認 |
Search Consoleで調べる
自社の実績をもっとも正確に把握できるのはSearch
Consoleです。2025年11月20日、Googleはブランドクエリフィルタを発表しました。「検索パフォーマンス」のレポート上で、指名検索とそれ以外を切り替えて見られる機能です。手順は次のとおりです。
- Search Consoleで「検索パフォーマンス」を開く
- フィルタから、ブランドクエリの絞り込みを選ぶ
- 期間を過去16か月まで広げ、表示回数・クリック数がどう動いたかを確かめる
- クエリの一覧で、名前と一緒に検索されている言葉を確認する
ブランドクエリには、名前の表記ゆれや入力ミス、ブランドに関連する商品名も自動で含まれます。分類は自動のため、一般名詞と同じ名前の場合などは正確でないことがあります。また、このフィルタは最上位のプロパティで、一定の検索数がある場合に表示されます。
フィルタが表示されない場合や、分類に違和感がある場合は、クエリのフィルタで「正規表現」を選び、「社名|サービス名|ひらがな表記|略称」のように自分で条件を作ります。
キーワードツールで調べる
自社サイトに来なかった検索も含めた全体の規模と、競合の名前の検索数は、キーワードツールで調べます。Googleキーワードプランナーは広告アカウントがあれば無料で使えますが、出稿額が少ないと「100〜1,000」のような幅のある表示になります。Ahrefsなどの有料ツールは、推定値を具体的な数字で表示します。
どのツールも推定値です。実数として扱うのではなく、競合との大小関係や、増減の傾向をつかむために使います。
Googleトレンドで調べる
Googleトレンドは、検索数そのものではなく、期間内の最大値を100とした相対値を表示します。自社名と競合名を並べて推移を比べたり、広告やPRを実施した時期に山ができているかを確かめたりする用途に向いています。検索数が少ない名前は、データが表示されません。
調べるときの注意点
- 表記ゆれをまとめる。カタカナ、英字、略称、よくある入力ミスを合算します。
- 同じ名前の別のものを除く。一般名詞や他社と同じ名前の場合、無関係な検索が混ざります。
- 既存顧客の検索を分けて考える。「〇〇会計
ログイン」のような検索は、新しい関心を表していません。 - 月ごとの増減だけで判断しない。季節による変動があるため、前年同月と比べます。
指名検索比率も確認する
検索からのクリック全体のうち、指名検索が占める割合を「指名検索比率」と呼びます。比率が極端に低い場合は、一般検索に頼りきりで、名前が浸透していない状態です。逆に極端に高い場合は、すでに知っている人しか来ておらず、新しい見込み客の入口が細い状態です。
適正な比率は、業種や事業の段階で異なります。他社の数字と比べるよりも、自社の推移を追うほうが役に立ちます。
指名検索を増やす方法7選
指名検索は、「名前を知る」「覚えている」「検索する理由がある」の3つがそろったときに起こります。7つの方法は、この3条件のどれかを強める手段です。

| 方法 | 主に強める条件 | 効果が出るまでの目安 | 費用の中心 |
|---|---|---|---|
| 1. 名前と表記を整える | 覚えている | すぐ | 社内の工数 |
| 2. 検索とAIで先に見つけてもらう | 知る | 3〜6か月 | コンテンツの制作費 |
| 3. 独自調査とPRで第三者に語ってもらう | 知る、検索する理由 | 1〜3か月 | 調査費、配信費 |
| 4. SNSと動画で接触を重ねる | 覚えている | 3〜6か月 | 人件費 |
| 5. 広告で認知を補う | 知る | 配信中 | 広告費 |
| 6. オフラインの接点で名前を残す | 知る、覚えている | 接点の直後 | 出展費、人件費 |
| 7. 顧客の声と口コミを増やす | 検索する理由 | 3か月〜 | 社内の工数 |
期間は目安で、業種や現在の知名度によって変わります。
1. 名前と表記を整える
最初に取り組むのは、検索しやすい名前にすることです。知ってもらっても、思い出せない名前や入力しにくい名前では検索されません。
- 読み方が一つに決まるか。読みにくい英字や造語には、カタカナ表記を添える
- 一般名詞や他社と重複していないか。重複する場合は、固有の語を組み合わせる
- 表記が統一されているか。サイト、SNS、プレスリリース、営業資料で同じ表記を使う
あわせて、Googleに正しい名前を伝えます。Googleは検索結果に表示するサイト名を、WebSiteの構造化データ、og:site_name、タイトルなどから判断します。略称や別表記がある場合は、構造化データのalternateNameで伝えられます。
2.
検索とAIで先に見つけてもらう
名前を知らない人に見つけてもらう入口が、一般検索とAIの回答です。見込み客が抱える課題をテーマにした記事を用意し、検索結果やAIの回答から読んでもらいます。
ここで大切なのは、読んだ人の記憶に名前を残すことです。役に立つ記事でも、どの会社が書いたかを覚えてもらえなければ、指名検索にはつながりません。次の工夫が有効です。
- 独自の調査結果、図解、チェックリストなど、その会社でしか得られない情報を入れる
- 手法や考え方に名前を付ける。名前の付いた概念は、それ自体が検索の対象になる
- 記事の冒頭や著者欄で、何を専門とする会社が書いているかを明示する
たとえば勤怠管理システムの会社なら、「残業時間の上限規制」を解説する記事の中で、自社の利用データをもとにした業種別の集計を示します。読者は制度を調べに来ただけでも、「あの集計を出していた会社」として名前を記憶します。
3.
独自調査とPRで第三者に語ってもらう
AIの回答に出る会社は、第三者のサイトで名前が語られている会社でした。自社サイトの外で名前を増やす確実な方法は、引用したくなる情報を出すことです。
- 独自調査を年に数回実施し、プレスリリースで配信する
- 専門メディアに寄稿する。取材や共同セミナーの依頼に応じる
- 調査結果を図表にまとめ、引用しやすい形で公開する
報道やブログで紹介されると、読んだ人が名前を検索します。同時に、AIが参照する情報源にも自社の名前が増えていきます。
4. SNSと動画で接触を重ねる
一度見ただけの名前は、なかなか記憶に残りません。SNSと動画は、同じ相手に何度も接触できる手段です。週1〜2回の発信を続け、プロフィールと投稿の両方で、社名とサービス名を正式な表記で示します。
動画では、冒頭と最後に名前を声に出して伝えます。文字と音の両方で触れてもらうと、思い出してもらいやすくなります。YouTubeの解説動画は、検索結果にもAIの回答にも表示されるため、方法2の役割も兼ねます。
5. 広告で認知を補う
コンテンツやSNSだけに頼ると、名前が広まる速度には限りがあります。短期間で名前を広めたい場合は、広告を使います。
- 動画広告、ディスプレイ広告、SNS広告:少額から始められ、業種や関心で配信先を絞れる
- テレビCM、タクシー広告、交通広告:費用は大きいが、短期間に多くの人へ届く
広告の成果は、クリック数だけでなく、配信期間中の指名検索数の変化で確かめます。電通が2025年6月に発表した分析ツールも、テレビCMの効果を指名検索数などの行動の変化で評価する仕組みです。広告は配信を止めると効果が薄れるため、ほかの方法と組み合わせて使います。
6.
オフラインの接点で名前を残す
展示会、セミナー、営業訪問、同梱物などの接点も、指名検索のきっかけになります。その場で申し込みに至らなかった人が、あとで思い出して検索するためです。
- 配布資料やスライドの最後に、「〇〇で検索」と名前を大きく示す
- 登壇や名刺交換のあとに、資料の送付やメールマガジンで接点を続ける
- 営業資料、請求書、パッケージなど、顧客の手元に残るものの表記を統一する
7. 顧客の声と口コミを増やす
既存顧客の紹介や口コミは、信頼度の高い「検索する理由」になります。同僚にすすめられたサービスは、すぐに検索して確かめたくなるものです。
- 導入事例を、顧客の社名と数字つきで公開する
- レビューサイトやGoogleビジネスプロフィールへの投稿を、利用後の案内で依頼する
- 寄せられた声に返信し、指摘には改善で応える
依頼するのは「正直な感想」に限ります。報酬を渡して好意的な投稿を頼み、その関係を隠せば、ステルスマーケティングとみなされます。
受け皿を整える:自社名の検索結果を点検する
増えた指名検索を成果につなげるには、検索結果そのものの点検が欠かせません。自社名で検索し、次の点を確認します。
- 公式サイトが1位に表示され、説明文が現在の事業内容と合っているか
- 「料金」「評判」「事例」など、一緒に検索される言葉に答えるページがあるか
- 古い情報、誤った情報、対応していない批判が上位に出ていないか
- 会社概要、所在地、連絡先が、サイトと各種の掲載先で一致しているか
「〇〇会計
評判」で検索した人が見るのは、第三者のページです。悪い評価を消そうとするのではなく、公式サイトに事例やよくある質問を用意し、判断材料を自分たちでも提供します。
進め方:最初の3か月と優先順位
結論から言うと、「測る」「受け皿を整える」「知ってもらう」の順に進めます。知ってもらう施策から始めると、増えたかどうかを確かめられず、検索してくれた人も取りこぼします。

| 月 | 取り組むこと | 目指す状態 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 指名検索数と比率の基準値を記録する。競合の検索数を調べる。名前と表記を統一し、自社名の検索結果を点検する | 現状の数字と、直すべき点が分かっている |
| 2か月目 | 料金・事例・よくある質問など、受け皿のページを整える。課題をテーマにした記事と、SNSでの定期発信を始める | 検索した人が迷わず情報にたどり着ける |
| 3か月目 | 独自調査を公開し、プレスリリースを配信する。少額の広告を試し、指名検索数の変化を確認する | 施策と指名検索数の関係が見え始める |
事業の段階で優先順位を変える
- 立ち上げ期(名前がほとんど知られていない):方法1の名前の整備、方法2のコンテンツ、方法6の対面の接点を優先します。広告は、受け皿が整ってから始めます。
- 成長期(一部で知られている):方法3のPRと方法7の口コミで、第三者からの言及を増やします。AIの回答で自社がどう説明されているかも、この段階で確認します。
- 認知が広がった段階:方法5の広告で一気に届ける選択肢が現実的になります。同時に、評判に関する検索への対応が重要になります。
予算が限られる場合
費用をかけずに始められるのは、名前と表記の統一、検索結果の点検、導入事例の公開、SNSでの発信の4つです。まずこの4つを3か月続け、基準値がどう動くかを確かめてから、調査や広告への投資を判断します。
想定例:従業員50名のBtoB企業の場合
業務システムを提供する架空の会社を例に、進め方を具体化します。1か月目に調べると、サービス名の検索は月300回ほどで、英字とカタカナの表記が混在していました。そこで表記をカタカナに統一し、料金ページと導入事例3本を整えます。
2か月目からは、顧客からよく受ける質問を記事にし、週1回のSNS発信を始めます。3か月目に、利用データをもとにした調査をプレスリリースで配信し、同じ週に指名検索数がどう動いたかを記録します。大きな予算がなくても、測る、整える、知ってもらうの順番は同じです。
効果測定:追う数字と目標の立て方
指名検索の取り組みは、指名検索数だけでなく、その先の成果まで含めて測ります。
| 指標 | 見る場所 | 見る頻度 |
|---|---|---|
| 指名検索の表示回数・クリック数 | Search Console | 毎月 |
| 指名検索比率 | Search Console | 毎月 |
| 名前と一緒に検索される言葉 | Search Console | 四半期ごと |
| 競合と比べた検索数 | キーワードツール、Googleトレンド | 四半期ごと |
| 指名検索から来た人の問い合わせ・購入件数 | アクセス解析 | 毎月 |
| AIの回答での言及 | Gemini、ChatGPT、AIモードなどに実際に質問して確認 | 四半期ごと |
目標の立て方
最初の目標は、現在の数字を基準に、前年同月比で何%増やすかという形で置きます。他社の数字を目標にしても、名前の重複のしやすさや事業の規模が違うため、参考になりません。
数字とあわせて、施策を実施した日付を記録します。プレスリリースの配信日、広告の開始日、展示会の開催日を一覧にしておくと、指名検索数の山がどの施策で生まれたのかを後から確かめられます。
社内への報告に使う
指名検索数は、部門をまたぐ活動の成果を一つの数字で示せる指標です。広告、PR、展示会、SNSはそれぞれ別の数字で管理されがちですが、どれも最終的には「名前で探された回数」に表れます。
経営層への報告では、指名検索数の推移に、問い合わせ件数と主な施策の実施日を重ねた1枚のグラフが有効です。認知への投資がどの程度の関心につながったかを、共通の物差しで説明できます。
数字が動かないときの見直し方
3か月続けても指名検索数が増えない場合は、3条件のどこで止まっているかを確かめます。
- 知られていない:記事の表示回数、SNSのリーチ、広告の到達人数が足りているかを見る
- 覚えられていない:名前が読みにくくないか、接触が1回きりで終わっていないかを見る
- 検索する理由がない:資料、事例、料金など、調べたくなる情報が用意されているかを見る
よくある失敗と注意点
指名検索の取り組みでつまずきやすい点は、5つに整理できます。
名前が一般名詞や他社と重複している
一般的な単語だけの名前は、検索しても自社が出てきません。新しいサービスの名前を決めるときは、事前にその名前で検索し、上位に何が表示されるかを確かめます。すでに使っている名前の場合は、「社名+サービス名」など固有の組み合わせで覚えてもらう工夫をします。
競合が自社名で広告を出している
Google広告の商標ポリシーでは、他社の商標を広告のキーワードとして使うことは制限されていません。自社名で検索した人に、競合の広告が先に表示されることがあります。
定期的に自社名で検索し、競合の広告が出ている場合は、自社名での検索広告の出稿を検討します。広告文の中で自社の商標が紛らわしい形で使われている場合は、商標権者として申し立てができます。
広告だけで増やそうとする
広告で増えた指名検索は、配信を止めると元に戻りやすい傾向があります。広告の期間中に、検索した人が資料請求やメールマガジン登録に進む導線を用意し、接点を残します。
指名検索だけを追う
指名検索比率が高いこと自体は、目的ではありません。指名検索は、過去に名前を知った人の数を映す「結果の数字」です。新しく知ってもらう入口である一般検索、AIの回答、SNSを細らせると、数か月後に指名検索も減っていきます。
不自然な方法で数字を作る
関係者に検索を依頼して回数を増やす、見せかけの口コミを作るといった方法は、成果につながりません。検索数が増えても問い合わせは増えず、発覚すれば信用を失います。広告であることを隠した投稿は、2023年10月から景品表示法違反の対象です。
よくある質問(FAQ)
指名検索とは何ですか?
会社名、サービス名、商品名など、固有の名前を含めて行われる検索のことです。ブランド検索とも呼ばれます。検索する人はすでにその名前を知っているため、問い合わせや購入に近い位置にいます。
指名検索と一般検索の違いは何ですか?
名前を含むかどうかの違いです。「〇〇会計
料金」は指名検索、「会計ソフト
おすすめ」は一般検索です。一般検索は多くの競合と比べられますが、指名検索は最初から自社が目的地になっています。
指名検索が増えるとSEOに効果がありますか?
Googleは、指名検索の数を順位の要因として公表していません。確実に言えるのは、指名検索そのものが成約に近い流入であることと、名前で検索される会社は第三者からの言及やリンクも集まりやすいことです。順位を上げる手段としてではなく、流入の質を高める取り組みとして考えるのが適切です。
指名検索数はどうやって調べますか?
自社の実績はSearch
Consoleのブランドクエリフィルタで調べます。競合を含めた検索数の規模はキーワードツール、増減の推移はGoogleトレンドで確認します。
最初にやるべきことは何ですか?
現在の指名検索数を記録し、名前と表記を統一し、自社名の検索結果を点検することから始めます。費用がかからず、その後の施策の効果を測る土台になります。
どのくらいの期間で数字が動きますか?
広告やプレスリリースは、実施した直後から変化が出ます。コンテンツやSNSは、3〜6か月は見ておく必要があります。短期の施策と長期の施策を組み合わせると、数字が途切れにくくなります。
自社名で検索広告を出すべきですか?
競合が自社名で広告を出している場合や、公式サイト以外のページが上位に出ている場合は、出稿する意味があります。公式サイトが1位で、ほかに広告も出ていない場合は、優先度は高くありません。まず自社名で検索して、現状を確かめてください。
BtoB企業や中小企業でも取り組む価値はありますか?
十分にあります。BtoBの買い手の多くは、問い合わせの前に候補を決めています。名前を知られていなければ、候補に入れません。大きな広告予算がなくても、導入事例の公開、独自調査、セミナーなどで、特定の業界の中で名前を覚えてもらうことはできます。
AI検索対策(LLMO)とはどう関係しますか?
同じ方向を向いた取り組みです。第三者のサイトで名前が語られるほど、AIの回答に出やすくなり、AIで名前を知った人が指名検索をします。指名検索数は、AI検索対策の成果を確かめる指標としても使えます。
まとめ:名前で探される会社になる
指名検索は、検索の順位ではなく、検索の外での活動によって増える数字です。ここまでの内容を整理します。
- 指名検索は名前を含む検索で、成約に近い人が集まる
- 買い手の候補は、問い合わせの前に決まっている。名前を知られていることが、候補に入る条件になる
- AIによる概要は指名検索では表示されにくく、流入への影響が小さい
- 調べ方は、Search
Console、キーワードツール、Googleトレンドの3つ - 増やす方法は7つ。「知る」「覚えている」「検索する理由がある」の3条件をそろえる
- 進める順番は、測る、受け皿を整える、知ってもらう
最初の一歩は、自社名で検索してみることです。何が表示され、何が足りないかを見れば、次にやることが決まります。
出典・参考資料
記事内のデータは2026年10月1日時点で確認したものです。
- Search Engine Land「Surprising data: 15% of Google searches
are driven by only 148
terms」(SparkToro・Datosの分析を紹介) - HubSpot
Japan「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」(2026年7月16日発表) - EXIDEA「カテゴリーブランディング白書
vol.1」(2026年1月20日発表) - 6sense「2025 B2B Buyer Experience Report」
- Ahrefs「What Triggers AI Overviews? 86 Factors and 146 Million
SERPs Analyzed」(2025年11月10日公開) - Amsive「Google AI Overviews: New Research Reveals How to
Navigate Click Drop-Off」(2025年4月16日) - Ahrefs「An Analysis of AI Overview Brand Visibility Factors
(75K Brands
Studied)」(2025年5月26日公開、2026年4月27日更新) - StockSun「セールス・マーケティングSaaS業界
AI検索実態調査 2026」(2026年4月28日発表) - ナレッジホールディングス「商品購入時の検索行動──検索・AI・SNSの使い分け」(2026年7月30日発表)
- Google 検索セントラル ブログ「Search
Console にブランドクエリ
フィルタを導入」(2025年11月20日) - Google 検索セントラル「サイト名に関するドキュメント」(最終更新2025年12月10日)
- 電通「テレビCMの指名検索数などへの貢献度をクリエイティブ表現別に評価「Response
Lift Checker」を開発」(2025年6月発表) - Google 広告ポリシー ヘルプ「商標」
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」